ホーム活動の計画と結果令和5年度の焦点、月別の細部計画等

令和5年度の焦点、月別の細部計画等

令和5年度プロジェクト活動の焦点

 上半期については、昨年末に策定された安保3文書に受けた上での航空自衛隊の戦力設計について、昨年度後半から引き続いて議論していきます。戦力設計の考察にあたっては、我が国の防衛力整備7本柱を中心に行っていくこととしています。
 下半期では、上半期の議論を踏まえ、航空自衛隊のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)について、あらためて、あるべき姿を追求します。航空宇宙自衛隊として、変革すべき点、あるいは不変・継承の原則等を議論し、現役への提言を図りたいと思います。
 また、講師をお招きしての意見交換会に関しては、昨年度サイバー領域に焦点を当ててきた関係から、引き続き新領域にして我が国が対処上の課題を多く抱える、サイバー・宇宙・電子戦等の分野を優先するよう考えています。
 なお、現時点では、毎月のサブテーマは確定してものではありませんが、仮置きして活動計画を作成しています。

令和5年度の活動計画


開催数 主な研究テーマ 開催月日 参加者
第1回 安保3文書に基づく空自の戦力設計 4.15 8名
第2回 「スタンドオフ防衛能力のあり方」 5.20 8名
第3回 「統合防空ミサイル防衛体制のあり方」 6.10 6名
第4回 「無人アセット防衛能力のあり方」及び「領域横断作戦能力のあり方」 7.23 7名
第5回 「指揮統制・情報機能のあり方」、「機動展開能力・国民保護」、「強靭性・持続性のあり方」 8.20 9名
第6回 上半期のまとめ 及び研究開発 9.24 7名
第7回 下半期のテーマと検討項目の選定 10.18 5名
第8回 空自の再最適化を議論するための基礎的事項の確認 11.18 6名
*特別回 *他団体とのエア・スペースにかかる意見交換 12.19 当方から6名
第9回 空自のレディネス(即応性)の基準について 2.4 9名
第10回 空自のレディネス(即応性)の基準:その2 3.31 7名



第1回研究テーマ(4月):「戦略3文書を受けた対応と課題」

1 今年度のテーマ「安保3文書に基づく空自の戦力設計」

 R05年度上半期の研究テーマである「安保三文書に基づく空自の戦力設計」を検討するにあたり、空自としての対応と課題について議論する。今後、個別のテーマに関する議論のベースとして押さえるべき点を明確化することを狙いとする。


2 令和5年度上半期(令和5年4月~9月)の小テーマ(予定)

①戦略3文書を受けた対応と課題(航空自衛隊全般)

②スタンドオフ防衛能力のあり方(陸海空の役割分担、ターゲティング能力確保、指揮統制系統のあり方等)

③統合防空ミサイル防衛(IAMD)体制のあり方(BMDとADの融合、反撃能力に掛かる指揮統制系統のあり方、指向性エネルギー兵器等の活用等)

④無人アセット防衛能力のあり方、領域横断作戦能力のあり方

⑤機動展開能力・国民保護、強靭性・持続性のあり方

⑥教育・訓練のあり方、上半期のまとめ

 

3 参考資料等

①メンバー作成の勉強会資料

②島田和久「基盤的防衛力構想の影響とその終焉」、日本戦略研究フォーラム季報Vol.96 Apr.2023、p2-10

③岩田清文「戦略3文書具現化、国全体が本気度を示せ」、日本戦略研究フォーラム季報Vol.96 Apr.2023、p35-41 

④武居智久「『戦略3文書』と今後の日本の安全保障」、日本戦略研究フォーラム季報Vol.96 Apr.2023、p42-50 

⑤佐藤庫八「防衛3文書の意義と課題」、日本戦略研究フォーラム季報Vol.96 Apr.2023、p51-60

第2回研究テーマ(5月):スタンドオフ防衛能力のあり方(陸海空の役割分担、ターゲティング能力等)

1 今年度のテーマ「安保3文書に基づく空自の戦力設計」

 R05年度上半期の研究テーマである「安保三文書に基づく空自の戦力設計」を検討するにあたり、空自としての対応と課題について議論する。今後、個別のテーマに関する議論のベースとして押さえるべき点を明確化することを狙いとする。


2 令和5年度上半期(令和5年4月~9月)の小テーマ(予定)

①戦略3文書を受けた対応と課題(航空自衛隊全般)

②スタンドオフ防衛能力のあり方(陸海空の役割分担、ターゲティング能力確保、指揮統制系統のあり方等)

③統合防空ミサイル防衛(IAMD)体制のあり方(BMDとADの融合、反撃能力に掛かる指揮統制系統のあり方、指向性エネルギー兵器等の活用等)

④無人アセット防衛能力のあり方、領域横断作戦能力のあり方

⑤機動展開能力・国民保護、強靭性・持続性のあり方

⑥教育・訓練のあり方、上半期のまとめ

3 参考資料等

①尾上定正「令和の時代の「反撃能力」を考える」軍事研究2022年6月号p67-81

 

②有村浩一、山口尚彦「米国における IAMD(統合防空ミサイル防衛)に関する取組み」防研紀要第20巻第1号2017年12月p37-61

 

③尾上定正「IAMDの現状と課題」安全保障を考える第756号(2018年5月)

 

④「国家防衛戦略について」(令和4年12月16日) 

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueisenryaki.pdf

 

⑤「防衛力整備計画について(令和4年12月16日)

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueiryokuseibi.pdf

第2回研究テーマ(5月):「スタンドオフ防衛能力のあり方」の発表項目

 5月20日に研究成果の発表を実施した。以下、発表者の作成した資料のうち、最初の頁のみを掲載

「スタンド・オフ防衛能力のあり方」について

 国家防衛戦略及び防衛力整備計画では、相手の能力と新しい戦い方に着目し、我が国自身の防衛力を抜本的に強化する方針が示されるとともに、従来の政策判断を超えて反撃能力を保有することとされた。そして反撃のために使用するとされたスタンド・オフ防衛能力は所謂、矛としての能力であり、専守防衛の下でこれまで保有することは無く、米軍に依存してきた攻撃能力である。

 これは自衛隊が新たに実施する作戦であり、実効性あるものにするためには、多くのことを検討しつつ体制整備を推進することが必要である。そこで、スタンド・オフ防衛能力の在り方を考えるにあたり、本戦略が前提としている新たな戦い方を推察し、これを実施するために必要な体制等について考察する。

 

1 スタンド・オフ防衛能力とは

 

2 スタンド・オフ防衛能力を使用した作戦

(1)反撃作戦

(2)対水上作戦(Countersea OperationAir Interdiction

(3)対地上作戦(Counterland OperationAir Interdiction) 

 

3 考察

(1)スタンド・オフ攻撃能力を使用した統合作戦

(2)AOCにおけるターゲティングの実施

(3)IAMD

(4)航空自衛隊の指揮統制組織

(5)航空自衛隊の戦力組成

第3回研究テーマ(6月):統合防空ミサイル防衛(能力)体制のあり方

1 今年度のテーマ「安保3文書に基づく空自の戦力設計」

 R05年度上半期の研究テーマである「安保三文書に基づく空自の戦力設計」を検討するにあたり、空自としての対応と課題について議論する。今後、個別のテーマに関する議論のベースとして押さえるべき点を明確化することを狙いとする。


2 令和5年度上半期(令和5年4月~9月)の小テーマ(予定)

①戦略3文書を受けた対応と課題(航空自衛隊全般):計画どおり実施

②スタンドオフ防衛能力のあり方(陸海空の役割分担、ターゲティング能力確保、指揮統制系統のあり方等):計画どおり実施

③統合防空ミサイル防衛(IAMD)体制のあり方(BMDとADの融合、反撃能力に掛かる指揮統制系統のあり方、指向性エネルギー兵器等の活用等):計画どおり実施

④無人アセット防衛能力のあり方、領域横断作戦能力のあり方

⑤機動展開能力・国民保護、強靭性・持続性のあり方

⑥教育・訓練のあり方、上半期のまとめ

3 参考資料等

① 福江広明『ミサイル防衛と「反撃能力」の一体化 「統合防空ミサイル防衛」を論ず』太論第3号(2023年1月)

 

② 長嶋純「先進技術が変える戦場:統合防空ミサイル防衛(IAMD)」防衛技術ジャーナル(2023年4月)

 

③ 武藤茂樹「スタンド・オフ防衛能力のあり方」F3プロジェクト勉強会(2023年5月20日) 

 

④尾上定正「令和の時代の「反撃能力」を考える」軍事研究2022年6月号p67-81

 

⑤有村浩一、山口尚彦「米国における IAMD(統合防空ミサイル防衛)に関する取組み」防研紀要第20巻第1号2017年12月p37-61

 

⑥尾上定正「IAMDの現状と課題」安全保障を考える第756号(2018年5月)

 

⑦国家防衛戦略について」(令和4年12月16日)

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueisenryaki.pdf

 

⑧「防衛力整備計画について(令和4年12月16日)

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueiryokuseibi.pdf

第3回研究テーマ(6月):「統合防空ミサイル防衛(能力)体制のあり方」の発表項目等

研究テーマ:「統合防空ミサイル防衛(能力)体制のあり方」

1 我が国における「統合防空ミサイル防衛」の考えに至る経緯

2 安保3文書が目指す統合防空ミサイル防衛能力強化の具体的な内容

3 同能力の現状

4 同能力による我が国独自対処上の課題

5 米軍「IAMD」能力との共同対処上の課題

6 我が国にとっての統合防空ミサイル防衛(能力)体制のあり方



結論(現行の防衛力整備計画の対象期間内)の要点

〇全般:「統合防空ミサイル防衛体制」

 多様化、高度化する経空脅威に対して、我が国本土及び統合の部隊を強靭に防護しつつ柔軟な戦力発揮に努めるためJADGEを中心として領域横断作戦に資する統合C2及びネットワーク交戦を可能とするIFCNを早急に整備する。この上で、国家防衛戦略で示された他の抜本的強化にあたる能力・機能と密接に連携し、一元的な指揮統制と一体的な作戦運用の体制を構築する。併せて、共同体制の整備を段階的かつ着実に実施して抑止・対処の効果を高める。

細部:

1 統合司令官の下、航空総隊司令官が統合任務部隊を一元的に指揮する。

2 全防衛区域を対象にJADGE等を通じてAD及びBMDを一元管制する。

3 各自衛隊の各種ネットワークを統合(IFCN)しJADGEとの連接を図る。

4 分散代替の指揮統制及び管制の各機能を整備する。

5 反撃力の発揮は、AOCを活用して米軍等の打撃作戦との同調を図る。

6 持続性・強靭性の各機能についても、作戦立案の段階から密に連携する。

第4回研究テーマ(7月):無人アセット防衛能力及び領域横断作戦能力のあり方

1 今年度のテーマ「安保3文書に基づく空自の戦力設計」

 R05年度上半期の研究テーマである「安保三文書に基づく空自の戦力設計」を検討するにあたり、空自としての対応と課題について議論する。今後、個別のテーマに関する議論のベースとして押さえるべき点を明確化することを狙いとする。


2 令和5年度上半期(令和5年4月~9月)の小テーマ(予定)

①戦略3文書を受けた対応と課題(航空自衛隊全般):計画どおり実施

②スタンドオフ防衛能力のあり方(陸海空の役割分担、ターゲティング能力確保、指揮統制系統のあり方等):計画どおり実施

③統合防空ミサイル防衛(IAMD)体制のあり方(BMDとADの融合、反撃能力に掛かる指揮統制系統のあり方、指向性エネルギー兵器等の活用等):計画どおり実施

④無人アセット防衛能力のあり方、領域横断作戦能力のあり方:計画どおり実施

⑤機動展開能力・国民保護、強靭性・持続性のあり方

⑥上半期のまとめ

3 参考資料等

① 杉山公俊「小型無人機の脅威に対応するに当たり着意すべき事項」国際安全保障学会発表資料(2022年12月)

 

②Caitlin Lee and Mark Gunzinger, “The Next Frontier: UAVs for Great Power Conflict”, The Mitchell Institute for Aerospace Studies, Dec. 2022

 

③ 重岡康弘「領域横断作戦にどう取り組むのか」安全保障を考える第783号(令和2年8月1日)

 

④国家防衛戦略について」(令和4年12月16日) 

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueisenryaki.pdf

 

⑤「防衛力整備計画について(令和4年12月16日) 

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueiryokuseibi.pdf

「国家防衛戦略」

第5回研究テーマ(8月):機動展開能力・国民保護、強靭性・持続性のあり方

1 今年度のテーマ「安保3文書に基づく空自の戦力設計」

 R05年度上半期の研究テーマである「安保三文書に基づく空自の戦力設計」を検討するにあたり、空自としての対応と課題について議論する。今後、個別のテーマに関する議論のベースとして押さえるべき点を明確化することを狙いとする。


2 令和5年度上半期(令和5年4月~9月)の小テーマ(予定)

①戦略3文書を受けた対応と課題(航空自衛隊全般):計画どおり実施

②スタンドオフ防衛能力のあり方(陸海空の役割分担、ターゲティング能力確保、指揮統制系統のあり方等):計画どおり実施

③統合防空ミサイル防衛(IAMD)体制のあり方(BMDとADの融合、反撃能力に掛かる指揮統制系統のあり方、指向性エネルギー兵器等の活用等):計画どおり実施

④無人アセット防衛能力のあり方、領域横断作戦能力のあり方:計画どおり実施

⑤機動展開能力・国民保護、強靭性・持続性のあり方

⑥上半期のまとめ、研究開発

 
3 参考資料

Air Force Doctrine Note 1-21“Agile Combat Employment”Dec.1, 2021

 

②荒木淳一、第6回現代戦研究会資料「米空軍のACE構想について」令和4年10月

 

③ 武田康裕編「国民保護を巡る課題と対策」グローバルセキュリティ調査報告第2号(2018年8月)

 

JFSS第3回政策シミュレーション成果報告書「徹底検証:新戦略3文書と台湾海峡危機―2027年に向けた課題―」2023年7月18日、https://www.jfss.gr.jp/taiwan_study_group 

 

⑤国家防衛戦略について」(令和4年12月16日) 

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueisenryaki.pdf

 

⑥「防衛力整備計画について(令和4年12月16日) 

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueiryokuseibi.pdf

第6回研究テーマ(9月):研究開発のあり方

1 今年度のテーマ「安保3文書に基づく空自の戦力設計」

 R05年度上半期の研究テーマである「安保三文書に基づく空自の戦力設計」を検討するにあたり、空自としての対応と課題について議論する。今後、個別のテーマに関する議論のベースとして押さえるべき点を明確化することを狙いとする。


2 令和5年度上半期(令和5年4月~9月)の小テーマ

①戦略3文書を受けた対応と課題(航空自衛隊全般):計画どおり実施

②スタンドオフ防衛能力のあり方(陸海空の役割分担、ターゲティング能力確保、指揮統制系統のあり方等):計画どおり実施

③統合防空ミサイル防衛(IAMD)体制のあり方(BMDとADの融合、反撃能力に掛かる指揮統制系統のあり方、指向性エネルギー兵器等の活用等):計画どおり実施

④無人アセット防衛能力のあり方、領域横断作戦能力のあり方:計画どおり実施

⑤機動展開能力・国民保護、強靭性・持続性のあり方:計画どおり実施

⑥上半期のまとめ、研究開発


3 参考資料等 

① 齊藤英明、「安全保障研究開発経緯と論点整理(Ver-4).pdf」

② 齊藤英明、「参考ー論点要約版(F-3A-2023-9-23).pdf)

③ 第1回~第5回勉強会提示資料

④国家防衛戦略について」(令和4年12月16日)

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueisenryaki.pdf

⑤「防衛力整備計画について(令和4年12月16日)

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueiryokuseibi.pdf

令和5年度上半期の活動成果について(目次)

1.令和5年度の勉強会テーマ
2.令和5年度上半期の勉強会実績
3.勉強会成果の概要
(1)全般
(2)細部

令和5年度上半期の活動成果について(本文)

1 今年度の勉強会テーマ:「戦略3文書を受けた対応と課題(航空自衛隊全般)」

 令和5年度上半期の研究テーマである「戦略三文書に基づく空自の戦力設計」を検討するにあたり、空自としての対応と課題について議論する。

 

2 令和5年度上半期(令和5年4月~9月)の勉強会の実績

 当該半期における研究テーマ「戦略3文書に基づく空自の戦力設計」に基づき、以下の8つのサブ・テーマに細分化して実施した。

 

No

サブ・テーマ

実施日

基調発表者

戦略3文書を受けた対応と空自の課題

4/15

尾上定正

スタンド・オフ防衛能力のあり方

5/20

武藤茂樹

統合防空ミサイル防衛(IAMD)体制のあり方

6/8

福江広明

無人アセット防衛能力のあり方

7/23

荒木淳一

領域横断作戦能力のあり方

7/23

荒木淳一

機動展開能力・国民保護

8/20

金古真一

強靭性・持続性

8/20

深澤英一郎

研究開発のあり方

9/23

齊藤英明


3 勉強会成果の概要

(1)全般

 令和5年度のテーマである「戦略3文書を受けた対応と課題(航空自衛隊全般)」に関して、上半期は空自において戦力設計や戦力組成の見直しが求められるような大きな変化があるのか、あるとすると如何なる分野で、何が論点になるのかという観点から勉強会を企画した。

 これらの問いに答えるため、防衛力の抜本的強化に係る7つの柱について、空自として如何なる役割を果たすべきか(どの様に取り組むべきか)、如何なる体制・態勢が求められているか、実現する上で何が課題か等について、各テーマに知見を持つ報告者が自らの考えを発表した後、質疑応答及び議論を行った。

 戦略3文書に掲げられた7つの柱を導き出すプロセスで、如何なる統合運用構想や見積もりが行われたか知る立場にはないが、各回における発表、議論を通じて、7つの柱を空自として具現化していくために必要な考え方やポイントについて、概ね明らかにすることが出来たものと思料する。

 今後、空自は空幕を中心として7つの柱に関わる防衛力整備を、スピード感を持って進めるにあたって、各柱に関わる統合の運用構想の具体化、その中で空自が果たすべき役割等の明確化を図る必要があり、空自内における検討、統幕・各幕との調整、更には関連防衛産業との調整等を行いつつ、体制整備構想を構築すべきである。

そ の際、7つの柱に関わるそれぞれの体制整備構想の整合を図り、適切な優先順位を付して進めていくためには、空自のあるべき姿に関する検討を行うとともに、防衛力整備の実務とのバランスが適切でなければならない。


 防衛力の抜本的強化以外にも、反撃能力の行使に関わる日米間の役割分担やターゲティング要領の検討、拡大抑止の実効性を高めるための共同作戦計画の見直し等を通じた日米同盟の共同抑止・対処力の向上、防衛装備移転を通じた安全保障協力、防衛協力等の強化による同志国等との連携強化等、検討・議論・調整すべき課題は山積している。

 更に、GDP比1%という予算的制約から少なくとも2027年までは解放され、新防衛力整備計画には期限を明示した達成目標が示されており、検討未了の為、計画未達成という言い訳が許されない厳しい状況に直面していると言える。


 このように今まで経験したことの無い状況下において、従来の発想、やり方で課題に取り組んでも良い結果を得られないのは自明の理であろう。部外力やOBの力、現場部隊の力等を総動員する柔軟かつ大胆な発想で取り組むべきであり、F3プロジェクトは必要な支援を全面的に行える知見と意志を有したOBの人材を集め、検討・議論できる場を提供する用意は出来ていると思料する。

 勿論、機微な情報の取り扱いを含めて検討の進め方には工夫が必要ではあるが、是非ともOBの経験、知識、ノウハウ等を現役のため、引いては将来の空自の為に活用して頂けること、そして本成果報告がその切っ掛けとなることを願うものである。

(2)細部

   以下、実施項目ごとに作成した別紙のとおり。

ア 「戦略3文書を受けた対応と空自の課題」… 別紙第1

イ 「スタンド・オフ防衛能力のあり方」… 別紙第2

ウ 「統合防空ミサイル防衛体制のあり方」… 別紙第3

エ 「無人アセット防衛能力のあり方」… 別紙第4

オ 「領域横断作戦能力のあり方」… 別紙第5

カ 「機動展開能力・国民保護」… 別紙第6

キ 「強靭性・持続性」… 別紙第7

ク 「研究開発のあり方」… 別紙第8

ア 「戦略3文書を受けた対応と空自の課題」… 別紙第1

「戦略3文書を受けた対応と空自の課題」

 

Ⅰ 参考資料等(各資料の「概要」と「着目すべきポイント」は、付紙を参照)

・島田和久「基盤的防衛力構想の影響とその終焉」、日本戦略研究フォーラム季報Vol.96 Apr.2023、p2-10

・岩田清文「戦略3文書具現化、国全体が本気度を示せ」、日本戦略研究フォーラム季報Vol.96 Apr.2023、p35-41

・武居智久「『戦略3文書』と今後の日本の安全保障」、日本戦略研究フォーラム季報Vol.96 Apr.2023、p42-50

・佐藤庫八「防衛3文書の意義と課題」、日本戦略研究フォーラム季報Vol.96 Apr.2023、p51-60

 

Ⅱ 発表の要約(発表者作成資料の全文は、PDFファイルを表示

1 はじめに

  〇国家安保の基盤は、政治家と国民の軍事に関する理解と指導・支持(文民統制)

  〇平時・グレーゾーンのハイブリッド戦から核戦争までの「抑止と対処」の戦略

  〇自衛隊の最大の課題は、「百事、実戦を基本とする」思考と体質・体制への転換

2 「戦略三文書を受けた対応と課題:航空自衛隊全般」

 ○ 任務

従来:防空(航空優勢獲得)、対領空侵犯措置 ⇒ 受動的・伝統的

今後:相手の能力に着目、新しい戦い方に対応 ⇒ 能動的・革新的

 ○ 能力(Air Powerの特質を活かした本領発揮)

Mobility :速力・機動力・突破力⇔航空基地・空港等地上インフラ

Vigilance:多種多様なセンサー+ネットワーク⇔Data処理・共有・保全

Power :精密飽和攻撃⇔“Kill Chain”+多様な質・量の打撃力

 ○ 課題(Air Powerの脆弱性の克服、新しい戦い方を実践する体制)

戦力発揮基盤:航空基地、兵站(搭載武器、燃料、補用部品)、民間能力

DOTMLPF:ドクトリン、組織、訓練、装備、指揮統率・教育、人事、施設

人的戦力:現定員で所要の実員確保(宇サ電等新領域の質と量)、有人x無人

統合運用:SOM(反撃能力)+IAMD=領域横断作戦、日米共同C2

時間軸:5年内の現有装備の最大能力発揮⇔10年先の中核となる能力強化

3 「戦略三文書を受けた対応と課題:体制及び重視7項目」のポイント

 ○ 体制:多次元統合防衛能力を実効的に運用できる体制

・常設統合司令部/官(PJHQ):任務・責任・権限の具体化、役割分担と補完

・現体制見直し:(陸自5個方面隊、)空自骨幹組織のスリム化

・事態に応じた統合任務部隊編成:台湾海峡・尖閣、朝鮮半島;戦力提供⇔使用

・高烈度の作戦環境で粘り強い戦いを継続:F-35Ax40/Bx25、F-15改x54、RC-2x3

・太平洋域を含む広域での機動的な任務遂行:E-2Dx5、C-2x6、KC-46Ax13

・新編:空自作戦情報基幹部隊、宇宙領域専門部隊(将官指揮官、SDA)

・作戦機(現大綱⇒10年後):370機(内戦闘機290機)⇒430機(同320機)

 ○ スタンドオフ防衛能力(SOM)+統合防空ミサイル防衛能力(IAMD)⇒抑止力

・反撃能力(SOM)はIAMDのActive Defense機能:敵領域で侵攻拒否

・速やかな能力獲得:F-35JSM、F-15JASSM(+12SSM能力向上、トマホーク)

・ドローン・スォーム攻撃等対処能力:高出力レーザー、高出力マイクロ波

・敵領域を含む遠方での航空阻止、近接航空支援(陸海作戦のエアカバー)

・ミサイル・ドローン時代の航空優勢:要時要域において敵の航空優勢を拒否

 ○ 無人アセット防衛能力

GCAP(日英伊共同開発次期戦闘機)等有人機と連携する戦闘支援無人機の研究

・国内法制度の規制解除等、国内体制整備の必要性

 ○ 領域横断作戦能力

宇宙領域専門部隊(新編)によるSDA(Space Domain Awareness)、任務保証

・米国、他機関(DIH、CSICE)及び民間との棲み分けと協力関係の構築

 ○ 指揮統制・情報関連機能

・リアルタイムのOODA*1ループ・ネットワーク⇒3自衛隊/米軍JADC2との接続

・自動警戒管制システム(JADGE)の抗堪性、指揮統制機能の機動性・柔軟性の強化

・作戦情報基幹部隊(新編)による目標情報の蓄積、迅速な収集・識別等の活動

 ○ 機動展開能力・国民保護

航空輸送力の大幅な強化:C-1⇒C-2、空中給油・輸送機KC-46の取得(13機)

・機動展開・分散基盤の強化⇒抑止力の強化

 ○ 持続性・強靭性

2027年までの現有装備品の可動率の迅速な回復、行動用資材・弾薬の備蓄

・作戦基盤の抗堪化・分散、代替能力・被害復旧能力の強化

・シミュレーター等を活用した教育訓練:より実戦的かつ高い費用対効果


 

付紙

「戦略3文書を受けた対応と空自の課題」の参考資料

 

1 参考資料

①島田和久「基盤的防衛力構想の影響とその終焉」、日本戦略研究フォーラム季報Vol.96 Apr.2023p2-10

○概要:

・安倍政権を支えたキーマンである島田氏(元防衛事務次官)による3文書の総括

・基盤的防衛力構想の歴史的経緯と課題;ア 1次防~4次防、イ 51大綱(基盤的防衛力構想の導入)、ウ デタントの崩壊;GNP比1%以下の縛り、エ 07大綱(冷戦の終焉、オ 16大綱(BMD、対テロ)、カ 22大綱(動的防衛力)、キ 25大綱(統合機動防衛力)、ク 30大綱(多次元統合防衛力)、ケ 30大綱に至る経緯の評価、コ 国家防衛戦略・防衛力整備計画(戦略3文書)

・戦略3文書策定に至る防衛省内の検討概要を理解する参考

〇着目すべきポイント:

1)基盤的防衛力構想が安全保障環境の変化にも関わらず生き残った理由;その都度説明を変更(再定義)、防衛力の下限としても機能

2)基盤的防衛力構想の負の影響⇒新たな構想を打ち出すことに関しての思考停止状態+経費的手当てが十分でないことからくる構想との乖離に対する「諦め」の蔓延(実効性を確保する意識の低下)

3)22大綱あたりからの脅威対抗論への回帰⇔予算措置が不十分なことによる考え方の浸透不足

⇔戦略3文書策定に当たって実施された能力評価、見積もり、シミュレーション等の継承と更なる発展⇒継続した戦力設計、戦力組成レベルでの分析・検討

 

②岩田清文「戦略3文書具現化、国全体が本気度を示せ」、日本戦略研究フォーラム季報Vol.96 Apr.2023p35-41 

○概要:

・元陸上幕僚長の岩田氏による戦略3文書の評価と速やかに具体化すべき4点の提示(国全体として実行に本気度を示すべきとの主張)

・速やかに具体化すべき4項目:1)真に反撃できる能力の構築、2)国家の持つ全ての力・機能を結集すること、3)防衛力の強化、4)サイバー・情報戦における優越性の確保

・残された時間がそれほどないとの危機認識に立ち、国全体の機能が本気度を出し、準備を加速すべき⇒政治の強い指導力が不可欠

〇着目すべきポイント;

1)戦略3文書を高く評価しつつ、速やかに具現化すべき4項目を提示

2)国全体として本気の取組みが必要との危機感

3)その取組みを促進するツールとして台湾有事政策シミュレーションに言及

 

③武居智久「『戦略3文書』と今後の日本の安全保障」、日本戦略研究フォーラム季報Vol.96 Apr.2023p42-50 

○概要:

・元海幕長の武居氏が2022NSS閣議決定までの岸田総理の発言を辿り、2013NSSとの比較の観点から戦略3文書の意義と課題を論じたもの

・国家安全保障戦略を高く評価、新国家防衛戦略が防衛力整備とのギャップを埋めたとの評価

・国家安全保障戦略の課題;反撃能力と継戦能力

〇着目すべきポイント:

1)国家安全保障戦略2022の意義;①中国の位置づけの明確化、②惰性的な米国依存からの脱却の方向性を示したこと

2)戦略と防衛力整備のギャップを埋めた国家防衛戦略2022;①相手の能力と新しい戦い方に着目した防衛力の抜本的強化を行う意志を明確化したこと、②防衛戦略や防衛力整備における統幕の役割が明示されたこと、③「最適化」+「スクラップアンドビルド」の考え方

3)2022NSSの課題は、反撃能力と継戦能力

 

④佐藤庫八「防衛3文書の意義と課題」、日本戦略研究フォーラム季報Vol.96 Apr.2023p51-60 

○概要:

・米国議会に対する米中経済・安全保障評価委員会(US-China ESRC)の年間レポート(2021年版)をベースにした論考

・ESRCはFY2001年の国防接受法で設置が決められた議会直結の専門家委員会(12名の専門家)。委員会の目的は、米中二国間の経済・貿易関係が安全保障に及ぼす示唆を監視し、調査し、議会に報告すること、

・FY2021年度報告書第4章「台湾海峡両岸の抑止に関する危険な時期;台湾への戦争に関する中国軍の能力と意志決定」について評価

台湾侵攻は依然としてリスクの高い選択肢。着上陸能力(約2万5千名の陸上戦力を上陸させる能力)が整備されつつ、米国の通常戦力のみで中国指導者の台湾侵攻の決心を抑止できるかどうかは不確かになっているとの評価

〇着目すべきポイント:

1)中国軍の能力向上(侵攻戦力の構築)の速度と軍事バランスの変化

2)抑止が失敗する要因:米国の軍事介入の不確かさ、米国曖昧政策の読み違い、同志国を迅速に集められるか否か

3)年度報告の変化をフォローする必要あり

 

イ 「スタンド・オフ防衛能力のあり方」… 別紙第2

「スタンド・オフ防衛能力のあり方」

 

Ⅰ 参考資料等(各資料の「概要」と「着目すべきポイント」は、付紙を参照)

 ・尾上定正「令和の時代の「反撃能力」を考える」軍事研究2022年6月号p67-81 

 ・有村浩一、山口尚彦「米国における IAMD(統合防空ミサイル防衛)に関する取組み」防研紀要第20巻第1号2017年12月p37-61 

 ・尾上定正「IAMDの現状と課題」安全保障を考える第756号(2018年5月)

 ・「国家防衛戦略について」(令和4年12月16日) 

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueisenryaki.pdf

 ・「防衛力整備計画について(令和4年12月16日) 

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueiryokuseibi.pdf

 

Ⅱ 発表の要約(発表者作成資料の全文は、)


〇考察結果のポイント1:
スタンド・オフ攻撃能力を使用した統合作戦

・統合司令官が統合防衛作戦計画及び日米共同作戦計画を作成。陸海空司令官に任務付与して統合作戦として実施させる。スタンド・オフ防衛能力は、各軍種がそれぞれ保有。作戦実施コンポーネント指揮官により一元的な指揮統制の下で統合運用するとともに、その他の指揮官は、作戦実施指揮官に保有する戦力を提供する責任を有する。

・反撃作戦の計画作成では、敵領域の地上目標に対するターゲティングを行う。攻撃手段としては、AOCにおける一元的な指揮統制が最も適している。

・米軍では敵地に対して行う攻撃的作戦は通常CFACCが統合航空作戦指揮官として実施することから、反撃能力による作戦は航空総隊司令官が実施することが望ましい。

・空自が独自のターゲティング能力を保有するまでに時間がかかる場合は、米軍AOCとの共同作戦で実施することにより、早期戦力化が可能である。

・反撃能力による敵地への攻撃は、日米により整合のとれた戦略に基づき、エスカレーションをコントロールしつつ整合のとれた作戦の実施が重要である。

・スタンド・オフ防衛能力を使用した作戦はIAMDを含めて広大な戦域を管理した上で戦力発揮する必要があることから、航空総隊司令官による一元的指揮統制が望ましい。

・着上陸戦力として多数の船舶への攻撃は、費用対効果上、長射程ロケット及びJDAM等の直接攻撃で実施することが望ましい。

・海上優勢の獲得を目的とした作戦は、SF司令官が指揮統制、潜水艦も使用して対艦攻撃を実施し、航空総隊司令官がこれを支援する。


〇考察結果のポイント2:
AOCにおけるターゲティングの実施 

(ターゲティング実施要領)

・情報部隊がISRによりターゲット情報を収集、分析し、データベース化

・統合航空作戦としてAOCでターゲティングを実施

・デリバレイト・ターゲティング

→作戦要領: 72時間先の攻撃計画+オンコール 

→攻撃目標: 空母等の艦艇、島嶼部への着上陸戦力、敵基地(固定+移動)

・ダイナミック・ターゲティング 

  →作戦要領: キルチェーン Find Fix Track Target Engage Assess 

  →攻撃目標: 敵基地(TEL)

  (整備が必要となる能力等)

  ・目標情報を収集する能力: クラウド衛星、UAV

・ターゲットシステムを評価分析する機能: 情報組織 

  ・ターゲティング機能: AOC 

  ・移動目標を監視・追尾する能力: クラウド衛星、UAV、ネットワーク 


〇考察結果のポイント3:
IAMD

  (IAMD実施要領)

・各種センサーからの目標情報をフュージョン: BM、CM、航空機

・各種シューターに目標割り当て: SM-3、PAC-3、SM-6、中SAM、要撃機 

・同時多数かつ多様な侵攻に対処するためには、目標の航跡を確立し識別した上で最適シューターを割り当てる業務を自動化し、至短時間のうちに対処する必要がある。

・センサー情報をJADGEに集約し、AIを用いて目標の識別、シューターへの目標割り当てを自動的に実施するといった態勢の整備が必要。

・IAMD(防勢)の実施は、AADCが実施し、担当するエリアは、防衛区域を分割することなく、全防衛区域を一括して実施する。

(整備が必要となる能力等)

・JADGE

―各種センサー情報のフュージョンと航跡の確立

 ―AI機能による航跡の識別と各種シューターへの目標割り当て 

―抗たん性の確保

・ネットワーク

 ―キルチェーンを構成する各種シューター等との高速デジタル通信 


〇考察結果のポイント4:航空自衛隊の指揮統制組織

・統合司令官のJADOの下での統合航空作戦の実施

・スタンド・オフ攻撃能力を運用するためのAOCにおけるターゲティングの実施

・AADCによる全防衛区域におけるIAMD(防勢)の実施

・迅速なAI又はCASの実施

・航空作戦基地等を防護するための拠点防空の実施


〇考察結果のポイント5:航空自衛隊の戦力組成

  〇ISR 

・地上+空中+宇宙 

  〇戦闘機等

・第4世代戦闘機+長射程ASM

・第5世代戦闘機+長射程ASM+UAV(センサー、ウェポン) 

・爆撃機又は輸送機+長射程ASM(同時多数の攻撃)、大型爆弾?

・脅威圏へのペネトレーション能力 6th generation?

〇地対空誘導弾等

・PAC-3MSE

・短SAM 

・エネルギー指向兵器

〇キルチェーン: 分単位のキルチェーンの確立? 

 

 付紙

「スタンド・オフ防衛能力のあり方」の参考資料

 

1 参考資料

①尾上定正「令和の時代の「反撃能力」を考える」軍事研究20226月号p67-81 

○概要:

・F3メンバー(空幕防衛班長、統幕J-5等々の要職を歴任、防衛力整備、防衛政策等に深い経験と知見を有する)による我が国が反撃能力を保有することの必要性と政策的な整理(特に専守防衛との関係の整理)に関する論考

・一般読者向けの論理展開ながら、本質的な論点を明確にし、保有する反撃能力の意味する所を明確化。

・戦略3文書策定で示された「スタンドオフ防衛能力」と「反撃能力」の関係を整理するための基礎を提供

〇着目すべきポイント:

1)敵基地能力を構成する単語ごとの考察によりその本質を浮き彫り

2)専守防衛と敵基地攻撃の関係の整理+専守防衛の問題点の指摘

⇒①攻撃と防御を機械的に二分し、攻撃イコール侵略とするステレオタイプの考えが日本の安全保障政策に植え付けられていたこと、②防御にも抑止にも攻撃力が必要であることが日本の防衛政策から抜け落ちた結果、抑止戦略が体系化されず、③専守防衛の前提が敗戦後の日本の政治状況と戦略環境を固定的に捉えていること

3)専守防衛に代わる基本政策として「積極防衛(Active Defense)」を提示

4)日米同盟における敵基地攻撃能力の位置づけを明確化

⇒日米の役割分担の変化、米国の評価、日米同盟強化に必要な「積極防衛」と指摘

5)「積極防衛」に転換する為に必要な具体的なアプローチも提示

⇒国家意志の明示、国民の理解と支持を得る努力、日米同盟の抑止戦略・事態対処計画の策定、時間軸を明らかにした能力構築・資源配分計画の策定と実行

 

②有村浩一、山口尚彦「米国における IAMD(統合防空ミサイル防衛)に関する取組み」防研紀要第20巻第1201712p37-61

○概要:

・防研の研究員(陸自幹部)のIAMDに関する米国の取り組みに関する論考

・執筆された時点(2017年)では、「敵基地攻撃能力」「スタンドオフ防衛能力」等の議論が国内で整理されてない状況(30大綱(2017.12)、戦略3文書(2022.12))

・米国でIAMDが議論され始めた時期における先行的な研究⇒日本においても防空作戦と弾道ミサイル防衛を一体化させる努力を促す意義深い論考

〇着目すべきポイント:

1)陸自の視点からのIAMDに関する論考

2)IAMDの具体化の為の鍵がC2であることを指摘

⇔陸海空の役割分担、C2システムに関する具体的な言及がないものの議論の切っ掛けを与えるものとして高く評価

⇒その後の進展と具体的な取り組みは如何に?

3)IAMDが抱える課題の提示、その解決は?

⇔防空を統合運用する構想、IAMD構築の費用分担等の考え方

 

③尾上定正「IAMDの現状と課題」安全保障を考える第756号(20185月)

○概要:

F3メンバー(空幕防衛班長、統幕J-5等々の要職を歴任、防衛力整備、防衛政策等に深い経験と知見を有する)によるのIAMDに関わる論考

・30大綱において「スタンドオフ防衛能力」は打ち出されていたものの、「敵基地攻撃能力」と「反撃能力」との整理はなされていない状況での論考

・NSS/NDS2022の「抑止」を中核とする戦略構想と「反撃能力」保有の基礎となる考え方を提示

〇着目すべきポイント:

1)執筆時(2018年5月)におけるIAMDに関する提言(攻撃能力の必要性を含む)

2)IAMD体制構築の為の課題とその解決の為の提言を提示

3)戦略3文書内におけるその後の議論の行方は本提言と軌を一にする?

 

④「国家防衛戦略について」(令和41216) 

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueisenryaki.pdf

⑤「防衛力整備計画について(令和41216)

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueiryokuseibi.pdf

ウ 「統合防空ミサイル防衛体制のあり方」… 別紙第3

「統合防空ミサイル防衛(IAMD)体制のあり方」

 

Ⅰ 参考資料等(各資料の「概要」と「着目すべきポイント」は、付紙第1を参照)

福江広明『ミサイル防衛と「反撃能力」の一体化 「統合防空ミサイル防衛」を論ず』太論第3号(2023年1月)

長嶋純「先進技術が変える戦場:統合防空ミサイル防衛(IAMD)」防衛技術ジャーナル(2023年4月)

武藤茂樹「スタンド・オフ防衛能力のあり方」F3プロジェクト勉強会(2023年5月20日) 

有村浩一、山口尚彦「米国における IAMD(統合防空ミサイル防衛)に関する取組み」防研紀要第20巻第1号(2017年12月p37-61

尾上定正「IAMDの現状と課題」安全保障を考える第756号(2018年5月)

「国家防衛戦略について」(令和4年12月16日) 

「防衛力整備計画について」(令和4年12月16日)

 

Ⅱ 発表の要約(発表者作成資料の全文は、PDFファイルを表示

1 我が国の統合防空ミサイル防衛能力の現状と将来構想

(1)現状

・射撃管制に必要な情報は共有不可。各アセットに依存

・交戦情報等の共有が不十分、オーバーキル、ノーマークの可能性大。

・日米間の情報共有は、早期警戒等限定的。

・ADとBMDの一体的運用は不可。

 (2)将来の構想

○全般

・射撃管制レベルの情報共有とネットワーク交戦(EOR、LOR)の実現

・日米間のセンサー・データの共有化

○細部

・指揮統制システム及びスタンド・オフ指揮システムは共に必要との認識。国産での実現を指向。

・ペトリ構成品の大規模改修化も検討。

・ネットワーク構想として、「固定型から機動分散型への転換」「高信頼性・抗たん化」「大容量・低遅延」「他国・他軍種とのインオペ」「EORの実現」を挙げて検討。3自衛隊内では射撃管制レベルの情報共有を可能。

  

2 ポイント及び課題

(1)同能力による我が国独自対処上の課題

 〇反撃能力の観点:「統合防空ミサイル防衛」と「スタンド・オフ防衛」の指揮統制システムは別建て→効率的なキルウェブシステムとならず

 〇一元的な指揮統制システムの観点:関係部署ごとで独自の観点での様々な調査研究を事業化する模様。→有事対応に間に合わない可能性大

 〇統合ネットワークの観点:我が国独自仕様のペトリ運用体制を追求していく上では、米軍とのネットワーク交戦が困難を伴う可能性あり。陸自中SAM部隊等との連接にも課題が生じる。

(2)米軍「IAMD」能力との共同対処上の課題

 〇打撃(反撃)能力の観点:米軍の打撃作戦との同調要領が不明→我が国の反撃能力の効果的な発揮が困難

 〇共同ネットワークの観点:米軍は統合ネットワークシステムとしてIBCSをはじめ実用化段階。→自衛隊が独自のネットワークを構築した場合、ネットワーク交戦の性能低下(データ変換、ゲートウェイ処理等の遅延による)

 〇共同C2の観点:国防総省の主導の下、JADOC2を推進。各軍種の一元指揮統制が追求。→各自衛隊が統合C2の構築が遅延すればJADOC2の実システムに連接する可能性大。

 〇機動展開・持続性等の観点:米軍はIAMDの範疇でEABO、ACEを実行。→我が国では分散機動運用の構想はあるものの、ドクトリン化もされておらず、IAMD-Jとの連動が不明確なため、共同戦力の発揮、被害極限が困難

 

3 今後の「統合防空ミサイル防衛体制」の方向性

(1)全般

   多様化、高度化する経空脅威に対して、我が国本土及び統合の部隊を強靭に防護しつつ柔軟な戦力発揮に努めるため、JADGEを中心として領域横断作戦に資する統合C2及びネットワーク交戦を可能とするIFCNを早急に整備する。

   この上で、国家防衛戦略で示された他の抜本的強化にあたる能力・機能と密接に連携し、一元的な指揮統制と一体的な作戦運用の体制を構築する。併せて、共同体制の整備を段階的かつ着実に実施して抑止・対処の効果を高める。

(2)細部:

ア 統合司令官の下、航空総隊司令官が統合任務部隊を一元的に指揮する。

イ 全防衛区域を対象にJADGE等を通じてAD及びBMDを一元管制する。

ウ 各自衛隊の各種ネットワークを統合(IFCN)しJADGEとの連接を図る。

エ 分散代替の指揮統制及び管制の各機能を整備する。

オ 反撃力の発揮は、AOCを活用して米軍等の打撃作戦との同調を図る。

カ 持続性・強靭性の各機能についても、作戦立案の段階から密に連携する

 

付紙

「統合防空ミサイル防衛(IAMD)体制のあり方」の参考資料

 

① 福江広明『ミサイル防衛と「反撃能力」の一体化 「統合防空ミサイル防衛」を論ず』太論第3号(2023年1月)

 

○概要:

・F3メンバー(総隊司令官として北のミサイル発射対応等の実任務を経験、高射幹部としてミサイル防衛等に深い知見を有するOB)の標題に関する洞察

・戦略3文書策定以前(2023年9月)に出された論考であり、「反撃能力」、「IAMD」等に関わる政策議論は十分に整理されていなかった時期に、筆者の専門家としての識見に基づく深い洞察から記述された我が国における「IAMD」のあり方を問うたもの。

・「反撃能力」と併せて戦略3文書で示された「防衛力の抜本的強化」の核心の一つである「IAMD」について論述したもの。

・政治に関係し、時間的な余裕のない読者が短時間で論点とポイントを理解できるよう配慮された「TARON」という雑誌の特性から、「略論」「基礎知識」「本論」という構成。

〇着目すべきポイント:

1)攻防兼備の日本版IAMD構想を策定し速やかな具現化を求めつつ、課題を提示。

2)反撃能力を総合的な抑止力の一環として保有することを戦略3文書に明記することを求めたこと。

3)課題として、ア)キルチェーンを断つ反撃能力、イ)統合ネットワーク/一元的指揮統制(C2)の重要性、3)継戦基盤(展開・防護)の指摘

4)新防衛力整備計画での反映状況⇔切り口の異なる観点からの7本柱、それぞれの相関関係と全体像(統合の戦い方)の整合+武藤ペーパー(「スタンドオフ防衛能力の借り方」)との重なり

 

長嶋純「先進技術が変える戦場:統合防空ミサイル防衛(IAMD)」防衛技術ジャーナル(2023年4月)

 

○概要:

・空自OB(幹部学校長等の要職を歴任)が先進技術がもたらす戦場における変化の一環としてIAMDを捉えた論考

・「不思議の国のアリス」の「赤の女王」の寓話を使って、変化し続ける世界の中で進化する努力を継続することの重要性を示唆し、その一環としてIAMD構想構築の努力を求めるもの

・IAMDを「Left of Launch」と「Right of Launch」の双方のバランスを取ったものとして捉えている。従来のBMDは「Right of Launch」に限定されているだけではなく多くの課題があるとの指摘

〇着目すべきポイント:

1)経空脅威の変化に対応するために問題課題を克服しつつ進化し続ければならないことを指摘(IAMDの完成)

2)IAMDを政府全体として捉え国家としてのレジリエンス、国民保護等にも努力すべきことを指摘。

3)サイバー、宇宙、認知領域の能力向上はIAMDにも貢献⇔同盟・パートナー国との連携を重視

4)経空脅威の被害を国家・社会として吸収・緩和し無力化できる官民レベルのレジリエンス態勢の構築が重要

5)国家機能が依存を強める重要インフラの脆弱性を掌握し、速やかな被害復旧、原状復帰を実現し得る、大規模災害や不測事態に強い社会の構築が求められる

⇒弾道ミサイルをはじめとする経空脅威の対処に関して、早い段階から軍官民が一体となって協力・連携する枠組みを準備し、国家として一元的かつ横断的な対処態勢を確立すること

 

以下の関係資料については、前回の参考資料(別紙第2の付紙)を参照。

 

武藤茂樹「スタンド・オフ防衛能力のあり方」F3プロジェクト勉強会(2023年5月20日) 

有村浩一、山口尚彦「米国における IAMD(統合防空ミサイル防衛)に関する取組み」防研紀要第20巻第1号(2017年12月p37-61

尾上定正「IAMDの現状と課題」安全保障を考える第756号(2018年5月)

「国家防衛戦略について」(令和4年12月16日) 

「防衛力整備計画について」(令和4年12月16日)

エ 「無人アセット防衛能力のあり方」… 別紙第4

「無人アセット防衛能力のあり方」

 

Ⅰ 参考資料等(各資料の「概要」と「着目すべきポイント」は、付紙を参照)

・杉山公俊「小型無人機の脅威に対応するに当たり着意すべき事項」国際安全保障学会発表資料(2022年12月)

・Caitlin Lee and Mark Gunzinger, “The Next Frontier: UAVs for Great Power Conflict”, The Mitchell Institute for Aerospace Studies, Dec. 2022

・「国家防衛戦略について」(令和4年12月16日)

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueisenryaki.pdf

・「防衛力整備計画について(令和4年12月16日) 

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueiryokuseibi.pdf

 

Ⅱ 発表内容

○ポイントと課題その1:攻防の両面での無人機アセットの活用

・空自の無人機アセットへの取組み

1)常続的情報収集、監視のための無人機(RQ-4)

2)次期戦闘機に付随する無人機(UAV)

*「戦闘機部隊及び戦闘機数については、航空戦力の更なる量的強化を更に進める為、2027年度までに必要な検討を実施し、必要な措置を講ずる。この際、無人機(UAV)の活用可能性について調査を行う」

⇔陸自は、「無人車両(UGV)」と無人機(UAV)を効果的に組み合わせて駐屯地・基地等や重要施設の警備及び防衛体制の効率化を図る」とする中で空自は?

⇒無人機アセットを用いた戦い方(全領域における統合作戦においてどの領域・どの機能を無人機アセットが担うのか、それぞれの無人機アセットを統合運用上、どの様にリンクさせるのか)の検討を加速化すべき。

ポイントと課題その2:技術の進展に応じて実装化し、運用を通じて能力向上を継続しながらマス(大規模な量、数)を提供できるモジュール化を無人機(UAV)の基本とすべき

ポイントと課題その3:費用対効果を適正に分析するための手法、要領の検討が必要                  

ポイントと課題その4:陸海空の任務分担に従って検討・装備化される各種無人アセット防衛能力の領域横断作戦の観点からのネットワーク化を視野に入れた設計が不可欠

ポイントと課題その5:無人機(UAV)を維持管理・整備・運用するための組織設計(編成、人員、教育訓練)と優先順位の検討が必要

  

付紙

「無人アセット防衛能力のあり方」の参考資料

 

1 参考資料

 ① 杉山公俊「小型無人機の脅威に対応するに当たり着意すべき事項」国際安全保障学会発表資料(2022年12月)

 

○概要:

・前航空研究センター長(現宇宙作戦群司令)の杉山1佐が令和4年度国際安全保障学会自衛隊部会で発表したもの

・小型無人機の脅威への対応について統合運用の観点から考察したもの。

・無人機アセットを攻勢的手段として如何に活用するかという考察は限定的。

・小型無人攻撃機の効果を高く評価し、「航空優勢」の概念を見直す必要性を主張。特に最低安全高度(150m)以下の領域に着目すべきとの指摘。

 ・主な項目

―近年における小型無人機の急速な発達

―近年の無人機による攻撃事例

―軍事における無人機使用のトレンド

   ―小型無人機からの攻撃に対応する課題

―対応手段及び考慮要素

―自衛隊が取るべき対応(統合的観点から)

〇着目すべきポイント:

1)近年の無人機による攻撃事例、使用のトレンド、対応するための課題等を踏まえて、小型無人機の脅威への対処を統合的観点から実施することを主張

2)小型無人機による撮影画像を戦略的コミュニケーションへの活用を指摘

3)小型無人機の活用や「空飛ぶ車」など低高度における無人機等の混雑・錯綜を予測し、低高度における航空戦力運用上の課題を提起

4)「航空優勢」の概念の見直しについては真意を確認する必要

 

② Caitlin Lee and Mark Gunzinger, “The Next Frontier: UAVs for Great Power Conflict”, The Mitchell Institute for Aerospace Studies, Dec. 2022

 

○概要:

・米空軍・宇宙軍協会(AFA)のシンクタンクであるミッチェル研究所におけるUAVの活用に関する論考

・特に「Penetrating Strike」(敵防空網に侵入して攻撃するSEAD作戦や航空攻撃(Air Attack Operation)にACP(Autonomous Cooperative Platform)≒UAVを如何に有効に使うかという論考

・敵領域内におけるISRと対航空作戦に関わる任務上の重大なギャップが存在し、そのギャップが敵領域内に侵入する攻撃任務のリスクを極めて増大させることから、ACPが新たな挑戦と機会を提供すると主張

・その上で7項目の提言を実施;1)国防戦略とACP開発を関連付ける計画を公表すべき、2)運用実験の包括的なキャンペーンを実施すべき、3)教訓、開発、 製造の継続的サイクルを可能にするモジュール性をACPに要求、4)中程度の能力を持ち数を賄えるACPに優先順位をつけるべき(最初のACPは対航空作戦用であるべき)、5)ACPの費用対効果をどのように判断するかの要領を決定すべき、6)侵入攻撃の弾薬を多様化すべき、7)空軍はACPと次世代有人機を組み合わせて決定的な作戦を実施する為の将来の戦力設計を作成することに予算を付けるべき。

・まとめと提言

―国家防衛戦略とACP開発計画をリンクさせる計画を空軍は公表すべき

―運用実験を進める包括的な活動を始めるべき

―学び、開発し、製造する継続的なサイクルを可能とするようACPにはモジュラー性を要求すべき

―ACP関連技術を精錬し証明するために、現在行われている分析を秘区分の無いワークショップやウォーゲームで補完すべき

―実装化するACPは中程度の能力を多数提供できるものを優先させるべき。最初のACPには対航空任務の為のACPを含めるべき

―ACPの適切な価格評価する手法を決めるべき

―進入打撃の弾薬を多様化すべき

―決定的な協働作戦を実施する為に次世代有人戦闘機とACPを組み合わせた将来の戦力設計を作るために空軍は予算を付けるべき

〇着目すべきポイント:

1)侵入打撃任務へのACP活用を優先していること⇔敵の防空網の能力向上、侵入打撃のコスト上昇

2)ACPに求める能力は中程度でも多数を提供できるものを優先させるべきであり、モジュラー性によって迅速な開発、導入サイクルを実現するもの

3)ACPのコストを適正に評価するための手法をまず決めて関係部署で共有することが重要⇔低コストがメリットであるもののどのように開発・調達・能力向上させればより効果が高いかを判断する必要あり

4)有人機とACPの組み合わせによる将来の戦力設計を作るために予算を付ける必要。

オ 「領域横断作戦能力のあり方」… 別紙第5

「領域横断作戦能力のあり方」

 

Ⅰ 参考資料等(各資料の「概要」と「着目すべきポイント」は、付紙を参照)

・重岡康弘「領域横断作戦にどう取り組むのか」安全保障を考える第783号(令和  2年8月1日)

・原野博文「統合全領域作戦に関する一考察」エア・アンド・スペース・パワー研究第10号)

・「国家防衛戦略について」(令和4年12月16日)

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueisenryaki.pdf

・「防衛力整備計画について(令和4年12月16日) 

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueiryokuseibi.pdf

 

Ⅱ 発表内容

○ポイントと課題その1:領域横断作戦とは「全領域の能力を有機的に融合」し「相乗効果」を得つつ、複数のジレンマを敵に強要することで我の優位を獲得する作戦との認識

○ポイントと課題その2:統合運用に係る認識の転換が必要;統合の軸を軍種から領域へ

→統合のレベルを各軍種の作戦を組み合わせた統合から計画段階からの統合へ

→更には、実行段階では軍種に拘らない全領域における能力を総合発揮させる統合へ

○ポイントと課題その3:領域横断作戦を実現するためには運用構想を明確にして共有すべき(≒米統合全領域作戦(JADO))

→各領域における防衛力整備の優先順位やバランスを取るためにも必要★現在不在

→指揮統制システム、教育・訓練を変える為のロードマップが必要

○ポイントと課題その4:統合指揮官の作戦構想・作戦遂行に資することを第一義とする陸海空作戦という基本認識を各自衛隊のドクトリン等に反映する必要

→計画段階から統合指揮官の観点で戦力配分、初度配置、支援/非支援の関係、権限と責任の委任を決定+実行段階では統合指揮官の判断・指示で柔軟に変更

○ポイントと課題その5:PJHQのあり方検討にも反映させる必要

→各メジャーコマンドとの関係(何処までの権限をPJHQ指揮官に与えるべきか⇔戦力配分(戦力・人員等の差出、配置)、編成・指揮統制関係の決定⇔日本の法制度上何処まで可能か?)

→計画段階からの統合を実現できるPJHQの編成(機能と人員規模等)と各メジャーコマンドHQとの関係(作戦計画作成の責任を分担?)

→実行段階における統合を実行できる各コンポーネントコマンダー(被支援)と他コンポーネントコマンダー(支援)の関係の柔軟な運用、権限と責任の下位階梯への委任

→・上記に資する統合指揮統制・通信システムの構築

  

付紙

「領域横断作戦能力のあり方」の参考資料

 

  • 重岡康弘「領域横断作戦にどう取り組むのか」安全保障を考える第783号(令和281日)

 

○概要:

・元自衛艦隊司令官の重岡海将が領域横断作戦とは何か、何が求められるのかという疑問に対して、米軍の同種構想の発展経緯と概要を整理した上で防衛省自衛隊としてどの様に取り組むべきかを主張するもの

・米軍の動向を見極めながら所要の対応をすべきという結論であるものの、領域横断作戦(各能力の有機的融合+相乗効果)を実現するためには自衛隊の統合作戦を一段上のレベルに引き上げる(各自衛隊の作戦を組み上げる統合⇒計画段階からの統合)という指摘は極めて重要。

・米軍の領域横断作戦に関わる統合、陸海空それぞれの中での進展状況並びに我が国における取組を理解する上で有益

⇒「領域横断作戦」とは何かを明らかにする文書(ドクトリン・ノート?コンセプト・ペーパー)が不可欠。

  ・主な項目

   ―米国等における動向

   ―我が国における取組み

―組織・指揮統制システム

〇着目すべきポイント:

1)領域横断作戦が求める全領域における「能力の有機的な融合」と「相乗効果」を実現する為に今までの考え方の何を変えるべきかについて明確化

⇒統合の軸を軍種から領域へ

⇒統合のレベルを各軍種の計画を持ち寄って組み合わせる統合から、計画段階からの統合へ+実行段階の軍種に拘らない戦力発揮へ

⇒指揮統制システム、教育・訓練等を変える必要

2)戦略3文書を受けた立場として、米軍の構想の成熟、システムや装備品の開発、教育・訓練等の変化をモニターしながら、慎重にすすめるというスタンスは妥当か?

 

原野博文「統合全領域作戦に関する一考察」エア・アンド・スペース・パワー研究第10

 

○概要:

・航空研究センターの研究員である原野2佐が米軍の統合全領域作戦の概要、それが出来るに至った背景、米空軍におけるJADOの位置付け等を踏まえて空自に対する示唆を考察した論考

・米空軍の関連ドクトリンや統合コンセプトの概要の紹介を通じてJADOの概要を理解するには適した論考。

  ・主な項目

   ―米軍において JADO が必要となった背景

―JADO を含む JWC の中心的な考え方

―米空軍における JADO の位置付け

―空自への示唆

〇着目すべきポイント:

1)米軍におけるJADOの研究を通じて、自衛隊における領域横断作戦に対する取り組みに活かすべきとの指摘。

2)米空軍でエアパワーの活用はJADOを中心にするという方向性が明示され、関連するドクトリン文書が発簡されているとの指摘(JADOのためのエアパワーの活用)

3)ドクトリン文書を整備し、基本教育及び部隊における防衛基礎訓練を通じて空自全体に普及・ 教育することが必要との指摘⇔3文書が目指す「領域横断作戦」のコンセプト、ドクトリンの基が不明。

カ 「機動展開能力・国民保護」… 別紙第6

「機動展開能力・国民保護のあり方」

 

Ⅰ 参考資料等(各資料の「概要」と「着目すべきポイント」は、付紙を参照)

・ Air Force Doctrine Note 1-21“Agile Combat Employment”Dec.1, 2021

・荒木淳一、第6回現代戦研究会資料「米空軍のACE構想について」令和4年10月

・武田康裕編「国民保護を巡る課題と対策」グローバルセキュリティ調査報告第2号(2018年8月)

・JFSS第3回政策シミュレーション成果報告書「徹底検証:新戦略3文書と台湾海峡危機―2027年に向けた課題―」2023年7月18日

・「国家防衛戦略について」(令和4年12月16日) 

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueisenryaki.pdf

・「防衛力整備計画について(令和4年12月16日)

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueiryokuseibi.pdf

 

Ⅱ 発表の要約(発表者作成資料の全文は、PDFファイルを表示

1 機動展開にかかるポイント及び課題その1:南西域における航空施設の課題

(1)戦闘機の運用が可能な滑走路長の延伸

  ・(3,000m以上)3,000m x 2, 2,000m x 4(5)

(2)平行滑走路の付設

  ・那覇空港については、南側連絡誘導路の早期整備

(3)駐機場・貨物集積区域の拡張が不可欠

2 機動展開にかかるポイントと課題その2:統合輸送の現状と課題(体制・態勢)

(1)現状

  ○統合輸送を前提とし、J4に統合輸送調整所を設置して陸海空の輸送を一元管理

         ※ 輸送担任部隊、補給本部及び各幕に依存⇒展開計画のみ

  ○実地及び実働演習(訓練)による検証が不十分⇒南西域基盤強化(空港・港湾、補給拠点整備)2021年度陸自演習、PAC-3のC-2搭載

   ※ 図上演習における作戦準備段階フェーズの分離(部隊展開検証(TPFDD))TPFDD: Time-Phased Force & Deployment Data

         ※ 機動展開・後方補給を主体とした生地での実働演習
(2)機能別統合部隊(輸送)の創設OR常設統合任務部隊司令部J4機能の強化

  ○輸送のみならず、整備・補給・施設・衛生を含めた後方機能強化は不可欠

  ○機能別統合部隊(輸送)を新たに設立(支援集団(輸送集団)基幹)

                    OR

   陸自中央輸送隊、海自輸送部隊、海・空補給本部を輸送集団が一部指揮(輸送に係る)できる態勢を平素から保持       

3 国民保護にかかるポイントと課題:台湾危機に備えた計画策定等への早期着手
(1)ポイント1:自国民・避難民保護

   ・邦人等の保護、輸送 (R/TJNO)    

       ・米国他の各国NEO

   ・国民保護(沖縄県)

   ・避難民(台湾)移送・収容(CIQ, 一時宿泊、国際線乗継)

(2)ポイント2:米軍・有志国軍及び自衛隊の作戦準備上の連携

   ・H/V アセット(KC、AWACS、ISR)配備

       ・分散・機動運用(ACE)…R/W、付帯施設(エプロン、燃料備蓄、ハイドラント)

(3)(1)と(2)の課題:九州以東の民間空港施設等の競合

(4)ポイント3:政府対処計画

   ・空港施設運用に係る全体計画(含む施設整備)

   ・一時収容(宿泊施設等)計画 (R/TJNO、NEO)

   ・沖縄県退避住民支援計画(居住施設他)(国民保護)

   ・避難民(台湾)対処計画(沖縄からの移送を前提)

(5)ポイント4:共同(連合)計画

   ・Mil-Mil:BPM(できれば有志国を含めた枠組みに)

    ①M&Rに基づく作戦フェーズ毎の所要

    ②作戦支援(後方)計画の具体化

   ・政府全体:ACMを活性化させ、まずは、施設・区域使用に係る実効性を確認

    ①グレーゾーン(~重要影響事態):日米・国連地位協定の適用   

    ②存立危機、武力攻撃予測、武力攻撃:特定公共施設利用/米軍行動円滑化法の適用

(6)(5)と(6)の課題:政府対処計画と共同(連合)計画の密接な調整


 
 

付紙

「機動展開能力・国民保護のあり方」の参考資料

 

① Air Force Doctrine Note 1-21Agile Combat EmploymentDec.1, 2021 

  •  第6回現代戦研究会資料「米空軍のACE構想について」令和410

 

○概要:

・米空軍がA2AD脅威に対抗して地上における脆弱性を低下させ、航空戦力発揮を継続するために追求している作戦・戦術レベルのドクトリンの基になるもの。

・ACEはケンドール長官の7つの作戦運用上の必須事項(7Imperatives)の内の一つであるResilient Basingとも関連。

・資料の②は、偕行社の研究機能の一つである現代戦研究会のオンライン勉強会でACEを紹介する際に使用した個人資料。ACEの概念の概要を理解する切っ掛けとしては有益

〇着目すべきポイント:

1)米空軍におけるACEの進捗状況。訓練・演習における実証を通じて極めて速い速度で進展中。

2)空自の飛行場群運用構想の進展状況は如何に?米空軍のACEを参考に日本版ACEの構想、それに基づく防衛力整備は進んでいるのか?

3)第一列島線で米のACEを支援することは、自衛隊の航空戦力の運用にも資する。特定公共施設の使用に関する事態認定のタイミング、事前集積・事前配備等を進めるための努力

 

武田康裕編「国民保護を巡る課題と対策」グローバルセキュリティ調査報告第2号(20188月)

 

○概要:

・防大教授の武田康裕氏が、防衛大学校においてグローバルセキュリティに係る共同研究の成果として、複数の研究者が分担執筆した学術論文、研究ノート、資料等を取りまとめたもの。

・わが国の危機管理体制は、自然災害に対応する防災と武力攻撃事態等に対応する国民保護(“civil protection”)に区分。

⇔日本の危機管理体制が抱える本質的な問題とその特異性;諸外国では自然災害および重大事故に対応する措置を市民保護(civil protection)、武力攻撃に対する被害の最小化を民間防衛(civil defense)と位置付け

・概念的な形式で整理すると、英語名称は同一ながら、日本の国民保護は諸外国の 民間防衛(Civil Defense)に相当し、日本の防災は諸外国の市民保護(Civil Protection)に類似する概念。

・各概念が意味する内容に立ち入ると、諸外国の民間防衛が軍事防衛と密接に連動した概念であるのに比して、日本の国民保護には軍事や防衛の要素が非常に希薄。国民保護であれ防災であれ、緊急事態時の国家権力による非常措置の行使に関して、我が国は極めて慎重という特徴

〇着目すべきポイント:

1)第1~第9までの多角的な視点で国民保護を検討することにより様々な課題等を指摘。

2)政府、防衛省/自衛隊としての視点だけではなく、企業側の視点、自治体側の視点などから見た国民保護についても提示

3)いずれにせよ政府が主導して多角的な対策を推進することが必要。行政需要の無い事務として後回しされるべきものではない⇔国民の生命財産を護る為のもの

 

JFSS3回政策シミュレーション成果報告書「徹底検証:新戦略3文書と台湾海峡危機―2027年に向けた課題2023718日、https://www.jfss.gr.jp/taiwan_study_group 

 

○概要:

・JFSSによる3回目の台湾海峡危機の関わる政策シミュレーションの成果報告

・戦略3文書を受けて2027年の日本の危機管理体制が機能するかどうかを検証

⇔問題・課題抽出型の前2回と異なり、機能検証を狙い

・過去3回との違い;

1)戦略文書策定後のシミュレーション(2027年の安保体制の検証)

2)初の日米台のシンクタンクの参加

  • 有事中心のシナリオで紛争終結を扱うシナリオ(今までほとんど実施されず)

・特筆できる成果;

1)2027年に概成する防衛力の意義とこれを使用して現行の安全保障法制・外交政策の枠の中で政治的に台湾有事に何処まで対応可能かを検証できたこと

2)台湾シンクタンクからのプレーヤーの参加。プレーの内容がリアルになると共に台湾側の日本に対して期待することが明らかになったこと。

3)先島諸島の住民保護や輸送など、台湾有事に深く関連する事態について政府全体で研究する必要性を再認識させたこと

・2027年に向けた課題;

1)戦略的コミュニケーションに真剣に取り組む必要

2)有事における経済安全保障を研究する必要

3)事態認定が持つ背反的な性質を改善する必要

 

〇着目すべきポイント:

1)本シミュレーションの強点;1)閣僚経験者を含む現職国会議員と事務次官等経験者の参加、2)メディアへの全面公開、3)自衛隊元将官の参加、4)サイバー専門家によるイントラネット構築支援

2)本シミュレーションの弱点;1)日本セルのプレーヤーへの過負担、2)安全保障法制に関するメディアへの理解が不十分

3)本シミュレーションの結果が如何なる政策になって現れるのか。

4)先島諸島の住民の保護や輸送などを政府全体で検討する枠組みは?

⇒民間輸送業者(海上輸送、航空輸送)を活用する仕組み作りも不可欠

・米民間予備航空隊(Civil Reserve Air Fleet; CRAF)等も参照⇒政府が機体、船をチャーター、運航要員は予備自登録されている元自衛官(船乗り、操縦者等)

キ 「強靭性・持続性」… 別紙第7

「強靭性・持続性のあり方」

 

Ⅰ 参考資料等(各資料の「概要」と「着目すべきポイント」は、付紙を参照)

・ Air Force Doctrine Note 1-21“Agile Combat Employment”Dec.1, 2021

・荒木淳一、第6回現代戦研究会資料「米空軍のACE構想について」令和4年10月

・JFSS第3回政策シミュレーション成果報告書「徹底検証:新戦略3文書と台湾海峡危機―2027年に向けた課題―」2023年7月18日

・「国家防衛戦略について」(令和4年12月16日) 

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueisenryaki.pdf

・「防衛力整備計画について(令和4年12月16日)

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueiryokuseibi.pdf

 

Ⅱ 発表の要約(発表者作成資料の全文は、PDFファイルを表示

1 ポイント1:防衛3文書「持続性・強靭性」における特徴

○整備の達成時期の明示…これまでの諸計画と一線を画す具体性

・2027年度までの5年間(予算措置あり):

1)「弾薬・誘導弾の数量を増加」

2)「整備中以外の装備品が最大限可動する体制を確保」

3)「有事に備え、主要な防衛施設を強靭化」

4)「保管に必要な火薬庫等を確保」

・おおむね10年後まで(予算措置未定):

1)「弾薬・誘導弾の適正在庫を維持・確保」

2)「可動率を維持」

3)「防衛施設をさらに強靭化」

4)「弾薬所要に見合った火薬庫等をさらに確保」

○7つの柱のうち最も手厚い予算配分  

・今後5年間での「最優先課題」として、総予算43.5兆円のうち、15兆円(約34%)を占める。

・弾薬・誘導弾へ2兆円、装備品の修理へ9兆円、施設の強靭化へ4兆円。

・一方で、5年後以降10年後までの予算見通しは示されず。

○今ない装備品(これから開発するもの)も含めて明示

・「SM-3ブロックⅡA」「PAC-3MSE」など今ある弾種に加え、「12式地対艦誘導弾能力向上型」「03式中距離地対空誘導弾(改善型)」など、新たに開発するものも含めて個別の弾薬名を列挙して必要量を整備する方針を明示。

2 ポイント2:防衛3文書「持続性・強靭性」の評価

○定性的な目標ではなく、予算裏付けを伴う具体性ある計画へと変貌

 ⇒2027年を基準としたタイムライン

○基盤的防衛力構想からの脱却の試み、足りないものへの率直なアプローチ

 ⇒具体的な脅威を想定した態勢整備に着手

 ⇒「タマに撃つタマが無いのがタマに傷」の解消

 ⇒不足している状況を提示

 ⇒「手の内を明かさない」でごまかさない透明性

○計画執行の困難さ、タイムラインの妥当性の問題

 ⇒現行ルールでの膨大な事務所要

 ⇒民間生産能力の大幅拡大が前提

 ⇒新たな技術の開発から装備化、量産までのタイムスパンの短さ

 ⇒防衛省外(市民・自治体・他政府機関等)の理解と協力が不可欠

 3 ポイント3:防衛3文書にみる「持続性・強靭性」の論点(課題)」

○想定する我が国防衛作戦の姿は?

 ⇒どのような作戦を展開しようとしているのか(特に新たな領域の活用)

 ⇒「やりたいこと」は示せたが、「どのように」はこれから

1)統合運用の行方は(指揮・通信、装備の共通化など)

2)同盟国との連携は(共同開発、共同生産、共同備蓄、戦時融通など)

○米中確執で切迫する、より高いレベルの日米連携の必要性から見て

 ⇒単なる備蓄増だけではない、「運用する体制」こそ強靭化すべき

1)ますますネットワーク化が進む米国・同盟国との連携

・日米によるキルチェーン構築

・グローバル化したF35の部品供給の円滑化

2)高度な情報共有に求められる情報セキュリティとコミュニケーション力の向

 ⇒防衛装備品が国産主体の国は、実は少ない−−課題は最先端技術と実用性

・国内産業保護と国外連携強化とのバランス

  

付紙

「強靭性・持続性のあり方」の参考資料

 

  • Air Force Doctrine Note 1-21Agile Combat Employment1, 2021 

② 第6回現代戦研究会資料「米空軍のACE構想について」令和410

JFSS3回政策シミュレーション成果報告書「徹底検証:新戦略3文書と台湾海峡危機―2027年に向けた課題2023718日、https://www.jfss.gr.jp/taiwan_study_group

 

上記資料の概要及びポイントについては、別紙第6「機動展開能力・国民保護」の各項目を参照するほか、ここでは米空軍のACE構想について説明文を掲載する。

 

1 ACE(Agile Combat Employment)構想とは

〇定義:統合的抑止の下で戦闘力を作り出すと同時に生存性を増加させるため、脅威の時間軸の中で実行される能動的、受動的な機動の運用枠組み(AFDN-1-21(1 Dec.2021))

・中国のA2ADの脅威:弾道ミサイル、巡航ミサイル等+サイバー・宇宙

・地理的特性:広大な海洋域、圧倒的な距離的優位性は中国

・航空戦力の本質的弱点:地上において脆弱であること、戦力発揮を基地等の作戦基盤に依存すること、空間を占有し続けられないこと等)

⇒上記を克服し、戦力発揮を担保する為に航空戦力を機動、展開、分散・離合させる運用構想

〇ACEの運用枠組み(AFDN-1-21(1 Dec.2021))

・5つの核心的要素と3つの統合機能;①態勢(Posture)、②指揮・統制(Command &Control)、③展開と機動(Movement & Maneuver)、④防護(Protection)、⑤維持(Sustainment)+❶情報戦(Information)、❷情報(Intelligence)、➌火力(Fires)

・ACEを実現する鍵;1)展開先で多機能発揮できるエアマン、2)任務に応じた戦力パッケージ化(敏捷性と任務リスクとのバランス)

 

2 背景と経緯等

〇オバマ政権下における対中軍事戦略を巡る議論の迷走(ASB、OSC、JAM-GC等)

〇トランプ政権下における対中戦略の大転換(戦略的競争相手:NSS2017/NDS2018)

〇米空軍の葛藤;三重苦(規模の縮小、レディネスの低下、近代化の停滞)の克服+非対称の脅威への対応(中国のA2AD、サイバー・宇宙)+「マッスル・メモリー」の回復

⇒CQ.ブラウン大将「変化を加速させるか負けるか:ACOL」、統合全領域作戦(JADO)/

JADOの指揮・統制(JADC2)等の追求、宇宙軍の創設(宇宙領域の作戦領域化)、ドクトリン等の見直し(Mission Command、ACE、JADO/JADC2)、ABMSの追求

〇ACE構想の芽生えと急速な発展

・2018年、当時のPACAF司令官 CQ.ブラウン大将の下、ACE概念の明確化(PACAF司令部における意見交換において1枚のコンセプト・ペーパー(ハブ&スポークのクラスター運用構想)として提示)

・各種訓練、演習等における実証を通じて構想を洗練、2021年AFDN1-21ドクトリン・ノートを発出(ドクトリン化の途上⇔変化し続ける概念との認識も)

・2022年、PACAFでIOCを確認、実戦環境下でのFOCに向けて準備中

 

3 PACAF提示のACEの運用構想(案)

〇何故ACEが必要か;ハワイ、豪州、米本土からの距離の問題と中国のA2AD脅威に対する地上の航空戦力の脆弱性の問題への対応

〇中国の長距離精密打撃力(DF-26,H-6K,DF-21)の射程内で、空母打撃群や第5世代機(F-22/F-35)を失いたくない。

〇長距離打撃力の攻撃から生き延びつつ戦力発揮する為に、分散し、敵艦艇を攻撃・阻止する為に再集合するのがACEの考え方。戦域を適切に整え、戦力を展開し、機動させ、C2を確保し、戦力を維持・発揮する為の構想。

〇精密誘導攻撃をかわすためには、航空機の分散、デコイの活用が必要。また、被害局限・衛星からの被探知回避の為、簡易掩体等を活用。

〇戦闘機等は基本的にインサイド・フォースとして活用する考え。グアムはDF-21Dの射程外であるものの、DF-26の射程内のため防御が圧倒される可能性あり。しかし、在地の戦闘機に対してC2を維持し、ミサイル攻撃の警報が15分前までに出せれば、空中退避する等してインサイド・フォースとして活用は可能。

〇第5世代機(F-22/F-35)の配備は、グアムを中心にした周辺の島々に概ね4個SQ(F-22×1個SQ、F-35×3個SQ)程度の分散配備を考えている。日本に所在するF-35やその他の戦闘機は、日本国内で分散させる考え。

〇B-52/B-2、空中給油機、AWACSといったハイバリュー・アセットは、アウトサイドに配置して安全を確保しつつ、インサイドで柔軟に運用するアウトサイド・フォースとして活用。運用上の工夫(ダブルクルーでの連続運用、ホット・リフューエルによる在地時間の局限等)で70%以上、空中での運用が可能。

〇分散運用先での後方支援(燃料、弾薬、スペアパーツ等)が受けられることがACEの大前提。第一列島線上に事前集積しておくことが必要であり、それによって作戦準備期間を短くし、事態に即応することが可能となる。平時の費用対効果という考え方と有事のレジリエンスという考え方のバランスをとって燃料タンク等の整備を行う必要あり。

〇ACEの作戦構想(CONOPS)を航空自衛隊と共有し、共同することで、日米の航空戦力運用の柔軟性を向上させ、強靭性を高めることが可能。F-35の日米共同での整備補給等が可能。ACEには日本の民間飛行場等の使用が不可欠。

 

4 ACEの課題

アクセス」の不確実性+受動的防御策の強化予算の不足

・分散運用する飛行場等の確保(民間飛行場等の使用、平時からの継続的訓練)

・消極防衛(分散、掩蔽、被害復旧等)の優先順位

〇機動分散先での後方補給支援の担保(事前集積、移動・展開、多機能発揮可能なエアマンの養成と維持)、C2系統の確保

〇統合運用の一環としてのACE(被害復旧、基地防護、基地防空、脅威下でのLogisticに関する他軍種との役割分担)

 

5 日米共同におけるACEの意義

〇戦略的な意義;

①米中間の戦略核戦力が均衡化する傾向(相互抑止関係の成立)の下で「安定・不安定の逆説」の先鋭化を回避するための通常戦力バランスの均衡化を図る重要な手段

②米軍の航空戦力を戦域内に繋ぎ止める手立て(コミットメントの担保)

〇作戦・戦術的な意義;

日米の航空戦力の脆弱性の克服、生存性確保、継続的な戦力発揮を担保する手段

②日米共同による航空戦力の相互補完

③台湾に対する着上陸戦力を撃破・阻止し得る航空戦力態勢の維持(拒否的抑止)

☆懲罰的抑止と拒否的抑止のバランス、核戦力と通常戦力によるシームレスな抑止

 

6 わが国として取り組むべき事項

〇特定公共施設利用の柔軟性、適宜性を担保する為の法改正(武力攻撃事態法等)

〇日本版ACE(≒飛行場群運用構想)を実現するための体制・態勢整備

・分散、機動先での後方補給支援体制の確立(事前集積のために地積確保・事前集積用資器材の整備、弾薬等の機動配分・保管を可能とするコンテナ等の整備、戦術輸送・端末輸送能力の強化(C-130、CH-47等の増勢)、移動式燃料タンクの整備、KC-130等によるホット・リフューエル機能の整備)

・機動分散先でのC2系統確立(モバイルC2機能の整備)

・統合・共同による被害復旧能力の強化(陸空の滑走路被害復旧能力の強化、所要の器材・資材の整備、日米共同による滑走路被害復旧能力の向上)

・脅威下、被害状況下での簡易整備・補給に関わる基準の策定、訓練等の実施

・操縦者による燃料補給、簡易点検等の自己完結的再発進能力の向上、訓練

・機動・分散運用を支援できる多機能な能力を持つ整備員の養成、管理

〇日米共同作戦の実効性向上のための取組み

・対中軍事作戦構想の擦り合わせ(エンドステート、エスカレーション・コントロール要領、平時からグレーゾーン、有事に至る各種作戦(邦人輸送、NEO支援、先島諸島住民避難、難民等対処、尖閣対応、南西諸島防衛等)の擦り合わせ

・日米共同のC2系統の確立、日米共同でのACE運用要領の確立

 

ク 「研究開発のあり方」… 別紙第8

「研究開発のあり方」

 

Ⅰ 参考資料等(各資料の詳細は、付紙を参照)

1 経産省関連

・2021 年 10 月        岸田内閣発足と経済安全保障担当大臣の設置

・経済安全保障法制に関する有識者会議(2021 年 11 月 26 日)

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyo/dai2/shiryou1.pdf

・経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(経済安全 保障推進法)(2022 年 5 月 11 日成立    同月 18 日に公布)

https://www.cao.go.jp/keizai_anzen_hosho/doc/gaiyo.pdf

・第 4 章の具体策:研究開発構想(K-program)

https://www8.cao.go.jp/cstp/anzen_anshin/kprogram.html

・令和4年度補正予算・令和5年度当初予算のポイント  経済産業省(2023 年)

https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2023/pdf/01.pdf

・研究開発成果の社会実装への橋渡しプログラム(BRIDGE) 

・「統合イノベーション戦略 2023」

2 防衛省関連

防衛計画の大綱に向けた提言(2022.4.12)一般社団法人 日本経済団体連合会

https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/035_honbun.html

・「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」報告書(2022.11.22) https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/boueiryoku_kaigi/pdf/20221122_houkokusyo.pdf

・「国家安全保障戦略」・「国家防衛戦略」・「防衛力整備計画」と技術力及び研究開発https://www.mod.go.jp/j/policy/agenda/guideline/index.html

・「防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律」

2023 年6月に第211回通常国会 成立      同年10月1日

・我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法

(2023 年 6 月 16 日成立 同日施行)

https://elaws.e-ov.go.jp/document?lawid=505AC0000000069_20230623_000000000000000

・防衛技術指針 2023(R5.6)の概要https://www.mod.go.jp/j/policy/defense/technology_guideline/index.html

・「防衛産業へのスタートアップ活用に向けた合同推進会」を開催

2023.6.16 経済産業 同時発表:防衛省

https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230616002/20230616002.html

(防衛省:防衛産業新規参入:(https://www.mod.go.jp/atla/soubiseisaku_newentry.html)

「研究インテグリティ」に関する報告(2022.8.10) 日本学術会議会長 梶田隆章

https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/sokai/siryo185-4.pdf

 

Ⅱ 発表の要約(発表者作成資料の全文は、PDFファイルを表示 このうちの「B:論点」が対象)

1 ポイント及び課題:防衛省による研究開発指針

防衛3文書を受けた「防衛技術指針2023」は、指針足りえるか

・「防衛技術指針 2023」 我が国を守り抜く上で重要な技術分野(2017 年までに)

「物理分野で優勢を獲得するための機能・能力」

「情報分野で優勢を獲得するための機能・能力」

「認知分野で優勢を獲得するための機能・能力」

○ 隊員の負担、損害を局限しつつ、隊員以外の付随的な損害も局限する無人化、自律化

○ 従来使っていなかったプラットフォームの活用

○ 従来使っていなかったエネルギーの活用 ○ 新たな機能を実現する素材・材料、新たな製造手法

○ より早く、正確に情報を得るためのセンシング

○ 膨大な情報を瞬時に処理するためのコンピューティング

○ これまで見えなかったもの(例えば遠くのもの、電磁波や隊員の意思決定プロセス)の見える化

○ 仮想、架空情報をあたかも現実かのように見せる能力

○ 未来の状況を予測して先手を打つ判断能力の強化

○ 組織内外において、どこでも誰とでも正確、瞬時に情報共有を可能とするネットワーク

○ 効率的、効果的にサイバー空間を防御する能力 ○ 認知能力の強化

                    ↓

・「戦略三文書を受けた対応と課題:体制及び重視 7 項目」に呼応した防衛技術指に見直すべき ( 以下は、勉強会資料 令和 5 年 3 月 14 日 尾上(元空将))

○ 体制:多次元統合防衛能力を実効的に運用できる体制

○ スタンド・オフ防衛能力(SOM)+統合防空ミサイル防衛能力(IAMD)⇒抑止力

○ 無人アセット防衛能力

○ 領域横断作戦能力

○ 指揮統制・情報関連機能

○ 機動展開能力・国民保護

○ 持続性・強靭性

 

 ○経済安全保障重要技術育成プログラム(K-Program)との重複の中から防衛特化項目の抽出すべき

第一次研究開発ビジョンに基づく研究開発構想(2022 年 9 月) 23 の技術項目が列挙

「重要技術」

〇AI 技術 〇量子技術 〇ロボット工学 〇先端センサー技術 〇先端エネルギー技術

「技術検討枠組みの 4 項目」

〇海洋領域 〇宇宙・航空領域 〇領域横断・サイバー空間領域 〇バイオ領域

 

2 ポイント及び課題:参考となる米国のScience and Technology Strategy

○「防衛技術指針2023」は技術戦略として以下のようなまとめ方が好ましい

  ・DoD Digital Modernization Strategy(July 2019)

・Managing plan 2019-2023 National Defense Science &Technology Strategy

・Airforce Science & Technology Strategy 2030 (April 2019)

 

3 ポイント及び課題:現状の課題と改善策 (意見交換の焦点を)

○今求められているのは、先進技術を取り込む装備の構想

1)防衛装備への先端技術の取り込み:Technology Pushの方策は様々に進みつつあり、少々過剰気味 「将来の戦い方」の革新を目指した運用と技術の連携による  Operator Pullを構築する。

2)航空幕僚監部 防衛部科学技術官と防衛装備庁プロジェクト管理総括官(空)の連携による 「先進技術の運用効果検証プロジェクト」の立ち上げと 「研究開発の指針」を運用面からの将来構想を取り込み作成。

□具体例:

・航空自衛隊のディジタル化構想(情報部門、補給部門、訓練計画部門、教育訓練部門のデータのクラウド化)

・AI利用の電子戦機能の強化(ESM、ECM、ECCM)

・AI利用の訓練シミュレータの充実 ・AIとAutonomous技術の推進

□検討の方策:

「OBの有効活用」:現役とOB(運用と技術)によるセキュリティを確保した コンソーシアムを構成し、「科学技術官・装備技術官の2トップ体制」で 空自ディジタル構想と先進技術適用の運用効果を調査・検討する。概要は公表する。

 

 付紙

「研究開発のあり方」の参考資料

 

PDFファイルを表示 このうちの「A:経済産業省と防衛省の取り組み」が対象

第7回研究テーマ(10月):令和5年度下半期のテーマについて

1 今回のテーマ:令和5年度下半期のテーマについて

 R05年度上半期の研究テーマである「安保三文書に基づく空自の戦力設計」を踏まえて、下半期におけるテーマと検討項目を概定することを狙いとする。

 

当初提示案】

〇テーマ(案):空自の(MVV)ミッション・ビジョン・バリューについて

⇒アウトプット作成(空自のMVV小冊子:いずれ指揮運用綱要見直しの際の雛型)

①指揮運用綱要・空自ドクトリン等の現状と課題/MVVの方向性

②安保三文書等を踏まえた空自のMVVについて(その1)

③安保三文書等を踏まえた空自のMVVについて(その2)

④安保三文書等を踏まえた空自のMVVについて(その3)

⑤安保三文書等を踏まえた空自のMVVについて(その4)

⑥まとめ

 

【代替案】

〇テーマ(案):安保関連3文書を受けた空自の再最適化について

  • 上半期の議論及び成果の確認
  • 空自の組織・編成のあり方について
  • 空自の戦力組成見直しが必要な分野について
  • 教育・訓練並びに人材育成のあり方について
  • レディネス(即応性)の基準並びに後方支援体制の在り方について
  • まとめ

*各テーマに関する担当は今後、希望を含めて調整し、提示予定

 

2 参考資料等

①JAAGA2023成果報告(2023.10.12)

 

②F3プロジェクト上半期活動成果について(令和5年10月11日)

 

③「国家防衛戦略について」(令和4年12月16日)

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueisenryaki.pdf

 

④「防衛力整備計画について(令和4年12月16日) 

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/boueiryokuseibi.pdf

第8回研究テーマ(11月):令和5年度下半期のテーマについて

1 今回のテーマ:令和5年度下半期のテーマについて

 R05年度下半期の研究テーマである「安保関連3文書に受けた空自の再最適化」と関係項目に関する検討を逐次進めるとともに、関係機関との調整を踏まえた新たな勉強会への移行に備える。

2 仮置き案

〇テーマ(案):安保関連3文書を受けた空自の再最適化について

  • 上半期の議論及び成果の確認(10月実施済み)
  • 空自の再最適化を議論するための基礎的事項の確認(今月実施)
  • 空自の組織・編成のあり方について
  • 空自の戦力組成見直しが必要な分野について
  • 教育・訓練並びに人材育成のあり方について
  • レディネス(即応性)の基準並びに後方支援体制の在り方について
  • まとめ

3 参考資料等

R04年度F3プロジェクト 第8回勉強会 提示資料(R04.12.17

・“CMC38 Force Design 2030”Report Phase I and II, March 2020 (p3-4、p5-6)

・38th Commander of the Marine Corps, “Commandant’s Planning Guidance”, 2019 

・U.S. Joint Doctrine Note 2-19, “Strategy” 10 December 2019 (Ⅲ-1~Ⅲ-2、Ⅴ-1~Ⅴ-3、Ⅵ-1)

・“Implementing Joint Force Development and Design”Chairman of the Joint Chief of Staff Instruction(CJCSI3030.01)Dec.2019 (A-1~A-3、C-1~C-8)

 *上記の一部の説明資料は、PDFファイルを表示

②Col.M.Gunzinger and Lukas Autenried 「Building a Force that wins-Recommendations for the 2022 National Defense Strategy-」Mitchell Institute, June 2021.(日本語仮訳)

 

③ Raphael S. Cohen「Air Force Strategic Planning- Past, Present, and Future」RAND Paper 2017年 (日本語仮訳)

 

(尾上定正「『航空宇宙自衛隊』進化の課題」―露宇戦争の教訓から考える空自の将来像、求められるドクトリン/組織/装備の転換―)発表前(F3プロ関係者限り))

特別回(合同勉強会)(12月):エア・スペースに対する認識について

 今回は、来年から他団体との合同勉強会形式を企画するにあたり、エア・スペースを題材に顔合わせを兼ねて意見交換(1時間)を実施。流れは以下のとおり。

1 協力先から、「日本におけるエア・スペース・パワーの展望」をテーマに、
わが国のエア・スペース・パワーが戦略的に果たしてきた役割について振り返るとともに、未来社会におけるエア・スペース・パワーの展望について10分ほどブリーフィング。2
2 テーブルごとに意見交換
  小グループごとにテーマに沿った形で自由に意見交換。
3 各テーブルごとに出た意見や所感等を自由発表
4 次回の企画調整を依頼し終了・解散

 なお、今後、F3プロジェクト独自の勉強会と、合同勉強会をどのように開催していくかについては、年末年始の間に検討することにしています。

第9回研究テーマ(2月):空自のレディネス(即応性)の基準

1 令和5年度下半期のテーマ

 R05年度下半期の研究テーマである「安保関連3文書を受けた空自の再最適化」に関係する各項目について検討を逐次進めるとともに、他の関連グループ等との連携を図り、思考の深化を図る。

 

2 下半期のサブテーマ
 ①上半期の議論及び成果の確認【終了
 ②空自の再最適化を議論するための基礎的事項の確認【終了】 
 ③空自の戦力組成見直しが必要な分野について
 ④空自の組織・編成のあり方について
 ⑤教育・訓練並びに人材育成のあり方について
 ⑥レディネス(即応性)の基準並びに後方支援体制の在り方について
 ⑦まとめ


3 今回のサブテーマ
  ⑥のうち、レディネス(即応性)の基準

 
4 参考資料

①JAAGA訪米成果報告2023(R05.10. )

②AFFORGEN MODEL&AFFORGEN関連記事

 

③ Todd Harrison, “Rethinking Readiness”(日本語仮訳), Strategic Studies Quarterly FALL 2014.

 

④EMMI YONEKURA, DAVID SCHULKER, IRINA A. CHINDEA, AJAY K. KOCHHAR, ANDREA M. ABLER, MARK TOUKAN, MATTHEW WALSH, “Air Force Readiness Assessment-How Training Infrastructure can Provide Beteer Information for Decision Making-”,(日本語仮訳) RAND Research Report, www.rand.org/t/RRA992-2.  

***勉強会において、上述の関係資料を説明した際に使用した事前ブリーフィング・ペーパーは、以下の「PDFファイルを表示」をクリックしていただけますとご覧になれます。***

PDFファイルを表示


第10回研究テーマ(3月):空自のレディネス(即応性)の基準(その2)

1 令和5年度下半期のテーマ

 R05年度下半期の研究テーマである「安保関連3文書を受けた空自の再最適化」に関係する各項目について検討を逐次進めるとともに、他の関連グループ等との連携を図り、思考の深化を図る。

 

2 下半期のサブテーマ
 ①上半期の議論及び成果の確認【終了
 ②空自の再最適化を議論するための基礎的事項の確認【終了】 
 ③空自の戦力組成見直しが必要な分野について
 ④空自の組織・編成のあり方について
 ⑤教育・訓練並びに人材育成のあり方について
 ⑥レディネス(即応性)の基準並びに後方支援体制の在り方について
 ⑦まとめ


3 今回のサブテーマ
  ⑥のうち、レディネス(即応性)の基準の第2回目

 
4 参考資料

①荒木淳一「米空軍・宇宙軍ウォーフェア・シンポジウム(AWS)2024の概要について(速報)」令和6年2月19日

②荒木淳一「令和の時代における航空自衛隊のレディネスを考える」PPT資料

PDFファイルを表示

AFM記事「One General’s Quest to Vibe Check Air Force CultureMarch 21, 2024(日本語仮訳)

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