ホーム勤務の思い出千歳基地(北海道千歳市)その1

千歳基地(北海道千歳市)その1

千歳基地勤務時代(平成19年9月~平成21年3月)の思い出【前半】

 千歳基地に着任して以来、次の基地に異動するまでの間の出来事を綴った内容になっています。
 
 前回の八雲分屯基地勤務から、北海道2度目の勤務となったこと、勤務期間中に千歳基地開庁50周年記念及び洞爺湖サミット支援等、記憶に残る行事等が多い時代でした。
 
 なお、編集の都合により前後半に分けての掲載になっています。

第2航空団の着任にあたり:9月3日(月)

 業務の安定化は、ある面では業務停滞の始まりかもしれません。したがって、私達の組織も常に隊務運営の改革や業務のさらなる効率化を追求しなければならないのは当然のことだと思います。
 
 近年、自衛隊の任務拡充に伴って業務量は確実に増えてきています。その一方で、自衛隊員の数や防衛予算は削除の傾向にあります。

 
 こうした団を取り巻く環境の変化に対して、実践的体質を保持しつつ即応体制を確保するにはどうするべきでしょうか。この対応の基本的な方向としては、隊員が個々の能力を向上させるつつもに、組織全体で業務の効率化を図らなければならないと考えます。
 
 しかも、成果の質を下げることなく、これまで同様に上質の実績をあげることを重視しなくてはなりません。

 このことを実現するためには、部分的な、わずかな効率化ではなく、思い切ったものでなければならないのだと思います。「自ら次第で個人は変えられる。私達次第で組織は変わる。」をかけ声に、まずは私自身が業務処理の考え方や要領の見直しを通じて、変わって行くべきでしょう。

 慌てず急がず、地道に着実に変革を進め、他部隊にその創意工夫を発信し、団のモデル部隊化、千歳基地のモデル・ベース化を果たしたい。これが私の隊務運営上のビジョンです。

北部航空方面隊持続走大会の前夜にて:9月10日(月)

 明日は、北部航空方面隊に所属する関係部隊から選抜された選手が、これまでの練成成果を発揮する真剣勝負の日で、千歳基地内に整備したやや起状のある3キロコースを激走します。
 
 チームとして優勝の栄冠を得る人、各区間で勝利する人、これまでの自己最高タイムをたたき出す人、怪我を克服して完走する人、補欠出場して立派に責任を果たす人など、いろんなドラマを見ることになります。

 このいずれの「人」になり得るか、各選手は明日の大会の中で自らけじめをつけなければなりません。選手以外の私を含む隊員達は、各選手のけじめのつけっぷり、また練習どおりの冷静な走りをしながらも自らの限界に挑む、勝負をかける彼・彼女等の姿に、魅せられ、感動し必死に応援することになるでしょう。

 明日、すべての選手に対して存分な走りを期待して止みません。

奈良から一般幹部候補生が基地を研修:9月13日(木)

 奈良県に所在する航空自衛隊幹部候補生学校から19名の将来の空自を背負っていく若き候補生が、一週間の業務研修のために来基してくれました。
 
 私もこの学校を25年以上前に卒業したひとりだすが、彼等はこの学校を来春卒業して各地の空自部隊に配置されると、そこには遣り甲斐と感動、そして苦難と達成感などが待ち受けていることでしょう。

 ぜひともいかなる困難にも敢然立ち向かってもらいたいものです。自分のために、家族のために、部下隊員のため。それが日本の防衛のためになり、ひいてはアジア地域の国際な場での貢献につながっていくのですから。

 また、隊員と共にある指揮者を目指してほしいものです。現場の部隊や部下の能力向上や処遇改善を常に意識続けられるようになることを期待します。

全国防衛協力会連合会々員の研修を受け入れて:9月20日(木)

 今日は、歴史ある全国防衛協会連合会の方々に、当基地をご訪問いただき光栄でした。私がこの基地に着任した以降、平素から自衛隊に対するご協力ご支援を賜っている各種団体等の中で来基いただくのは、このたびの全国防衛協会連合会の方々が初めてでしたので、個人的のも忘れられない記念すべき日になった次第です。

 私からは基地運営の責任者としての勤務方針のほかに、来年7月に開催される北海道・洞爺湖サミットにおける予測される当基地の役割などを少しお話させていただきました。
 
 今回の研修が、来訪された方々にとって有意義でありますとともに、ぜひとも当基地所在部隊とその活動状況を記憶にとどめていただき、来年のサミット開催時期には、当基地が国家イベントの一翼をきっと担っているのだろうと思い出していただければ幸いです。

平成19年度航空自衛隊持続走大会を来週に控え:10月10日(水)

 いよいよ来週は空自持続走大会が当基地で開催されます。当日が天候に恵まれ、これまで大会に備え心身を鍛えてきた各基地の選手たちが、存分に力を発揮することを祈念しています。

 もちろん、千歳基地に所在する12個部隊も、それぞれが所属する骨幹組織から勝ち抜き選抜されたチームを大いに応援してもらい、大会を盛り上げてもらいたいと思います。

 その一方で、この大会運営には千歳基地所在部隊が一致団結して当たることが重要です。他基地等から各階級指揮官をはじめとして多くの隊員が来基します。この際、個々の部隊の活動はもとより、千歳基地全体としてのまとまりや雰囲気、つまり環境整備や個々の挙措動作が注目されることにかならずなります。

 だからと言って少しも臆せず、挙措動作にしても毎日お互いに交わす節度ある敬礼や元気な挨拶、きびきびした行動、はっきりした発言をいつもどおり行えばいいのです。いつも以上に取り繕ったり、見栄をはったりする必要はありません。

 また、持久走大会開催期間中及びその前後にあっては、私はもとより基地所在の隊員ひとりひとりが旺盛なサービス精神をもって他基地からの来訪者に対して誠心誠意接することを片時も忘れることのないよう注意したいものです。

平成19年度航空自衛隊持続走大会の前日にあって:10月16日(火)

  今年千歳基地での大会準備に当たっては、極力、機械化しない、手作りでアナログ的な大会運営を基本コンセプトとしてきました。

 この背景には予算的な節約もありますが、選手のみならず大会運営に当たる関係隊員も知恵を出して、円滑で見栄えのする運営に努め、選手との一体感を強く求めるという考えがあったわけです。
  

 明日の大会当日は、この結果をどこまで評価していただけるかが、チームの着順に加えて大会運営準備に直接かかわってきた千歳基地隊員の関心あるところです。良きコメントには素直に喜び、指摘等につきましては次回への改善施策に必ず反映していくこととします。

基地野球部を去らざる得ない若き隊員の涙:10月19日(金)

 千歳基地野球部は、日本野球連盟に「航空自衛隊千歳」として加盟したのが、昭和56年。
 近年では、平成11年に千歳市民有志の方々による支援組織「千歳同夢会」なる支援団体が発会され、今年も都市対抗野球北海道地区予選において3位になるなど輝かしい戦績を残しています。

 今日は、今年予定していたすべての公式活動を終えたいということで、先述の同夢会主催により基地内で打ち上げ行事が行われました。活躍した選手たちが戦績や協力支援者に対するお礼を述べる中で、二人の選手が事実上の野球部から引退を宣言することになりました。

 一人は、腰痛の完治が望めないということと、もう1人は家族との時間を大切にしたいとの理由からです。
 
 彼等がそれぞれ挨拶をを終え、壇上を降りた後に流した涙を私は忘れられません。自衛官として、スポーツマンとして、そして家庭の大黒柱として、考え抜いた上での結論なのでしょうが、心中察するに余りあるものがありました。
 
 野球を通じて培ったファイティングスピリッツを、これからの人生においてもぜひ発揮し続けてほしいものです。

定年退職自衛官の背中をみつめて:10月20日(土)

 昨日の雑感を書いてしまった後に、先月ある定年退職自衛官(最後の勤務地が千歳基地)の息子(やはり千歳基地の勤務)が流した涙を思い出しました。
 
 他の多くの部隊でも行われているように、第2航空団においても、退官者は階級にかかわらず庁舎前において当該者の所属する部署のみならず当日勤務する者が、大勢で見送りをすることが以前からの慣わしになっています。


 その日も退官式の最後に現役隊員が列を作って見送りました。この際に、その列の中に退職隊員の息子がいることを知り、既に涙している彼を私の傍らに呼び父親を見送らせたことがありました。

 
 息子が流す涙から、この子の父親に対する尊敬の念、家庭での父の子に対する躾や愛情の深さ、そして彼の自衛官としての意気込みなどをうかがい知ることができて、爽やかな気持ちになったことをふと思い出す次第です。

退職予定者に望むこと:10月22日(月)

 今日は、来年度1/四半期に千歳基地で定年を迎える隊員たちに会う機会がありましたので、再就職の活動に当たっての基本的な姿勢などについて、二つほど話をしたところです。

 一つは、資格の取得や自学研鑽により個人の就職意欲や能力を高めてもらいたいということです。

 二つ目は、一つ目をしっかり行いつつも、いろいろな組織力に依存するだけでなく、個人としても就職先の検討や具体的な就職活動に努めてもらいたいということです。

 この基地で退職を数年後に控えている隊員を含めて、ぜひこの二点についてよく自覚してもらい、残りの現役期間をより一層充実して勤務し、後輩育成に励んでもらうことを期待しています。

基地司令感謝状の贈呈にあたり:10月26日(金)

 今年は千歳基地開庁50周年の節目の年です。千歳所属隊員にとって記念すべき年に基地の健全な運営に絶大なご協力を賜った方々に感謝状をお渡しできたのは、私にとりまして大変光栄なことだと思っています。

 本来ならば、基地司令感謝状という意味合いから、当然私からお一人ずつご自宅又は職場へ赴いて直接お渡しするのが筋であるところを、受賞者の方々には
基地内にご足労願い大変申し訳なく思った次第です。

 お詫びの気持ちも併せて、基地内の施設の一部を見学していただきました。今後ともこれまで以上のご支援及びご協力をいただければ幸いです。

一連の大会及び行事を終えて:11月2日(月)

 先月は、航空自衛隊持続走大会をはじめとする各種行事や各司令官の視察などがあり、この基地に所在する部隊にとっては大変忙しい月でした。

 そのいずれの行事等についても、この基地に所属する隊員によります徹底した諸準備及び覇気ある実施のおかげで、多くの他基地等関係者からは、個別の成果はもちろんのこと、千歳基地としての全般対応、隊員の挙措動作なども高く評価していただくことができ、基地司令としてこの基地に所属する隊員一人一人に心から感謝しています。
 
 この結果は、千歳基地に所在する12個部隊の日頃からの相互協力の賜と認識しています。今後ともこうした部隊間の関係や基地としての体質を維持していけるよう関係の業務に励みたいと思います。
 
 さて、今日から2週間はそれぞれの隊の基本任務、いわゆる表芸を磨く演習の時期となります。お互いに心身の健康に留意してそれぞれの任務を遂行するための練度向上を図っていきましょう。

イラク復興支援派遣輸送航空隊隊員の出発に際し:11月11日(日)

 思うに、第14期イラク派遣輸送航空隊の一員として勤務する隊員達は、日米同盟が危ぶまれている今日にあって、日米を同盟関係としてつなぐ絆の結び目と言えるのではないでしょうか。
  
 日本の代表として現地において与えられた仕事をやり遂げ、復興への貢献という足跡を残してこそ、日米同盟の絆の結び目もより強固なものにすることができるはずです。元気でいってらっしゃい国際貢献の士(さむらい)、そして無事の帰国を祈ってい
ます。

イラク復興支援派遣輸送航空隊隊員の帰隊に際し:11月17日(土)

 派遣隊員の諸官、北海道へのお帰りなさい。基地司令としては、イラク復興支援のために派遣されていた隊員の無事の帰国に安堵するばかりです。 

 この4か月もの間、酷暑と砂塵の中での勤務、本当にご苦労様と言いたい。いまやイラク復興支援派遣輸送航空隊は、国際貢献献上、そして日米の良好な関係を維持する上でなくてはならない存在ではないでしょうか。その部隊の一員として現地において任務を全うしてき た同僚隊員を、私はとても誇りに思います。 

 彼等は、これまでいわば国際貢献の場における最前線の戦士であったのですから、この後しばらく心身共に寛いで、また私達と一緒に北海道の大空を守っていきましょう。

基地除雪隊を編成するにあたり:11月29日(木)

 明後日に編成を完結する千歳基地除雪隊は、それ以降の冬期間にあって、この基地の諸機能を維持・確保する上で、最も重要な任務を負う部隊となります。  

 この部隊が、千歳基地の各所在部隊にとって任務を遂行する上で、なくてはならない存在であり、その結果に大きな期待を寄せている証として、今日の
編成完結式典には、基地に所在する全ての部隊長が参加しました。

 私は、除雪業務について、まさに天候次第、雪の降り次第ですので、計画性、先行性、充員性に常に課題を抱える、いわば受け身の極めて難儀な仕事であると認識しています。

 こうした厳しい状況の中にあって、特にヒューマン・エラーを回避し安全を確保しつつ、パーフェクトなミッションを達成してもらいたいと思っています。

 この基地に所在する部隊の任務遂行と基地に所属する隊員のライフ・ラインは、基地除雪隊の手中にあると言っても過言ではないと思います。

少し早めのクリスマス・コンサートを開催:12月2日(日)

 今年は、基地開庁50周年記念として、基地主催のクリスマス・コンサートを千歳市文化センターにおいて行いました。
 今回は、これまでこの基地の活動などに
深い理解と協力をいただいている地域住民の方々に楽しんで頂くことを最優先にするというコンセプトで開催しました。

 時間帯については、少しでも多くの子ども達の来場を期待するという観点で、午後4時からの開演にしたり、施設案内等の関係者の服装に関しても、一部の受付・案内係をのぞきスッタフジャンパーを着用させたり、プログラムを掲載した配布用パンフレットについては、「飛び出す」クリスマス・ツリーや紙飛行機を差し込んだりと工夫を凝らしてみました。

 こうした基地の新たな取り組みについて、お越し下さった方々は果たしてどのような感想をお持ちになったでしょうか。観客主体のコンサートを目指した隊員の気持ちがきっと通じたものと確信しています。

韓国空軍の研修団との交流プログラム推進に貢献:12月11日(火)

 航空自衛隊が毎年行っている他国とのいわゆる防衛交流プログラムの一環で、昨日から5名の韓国空軍研修団による千歳基地への来訪がありました。 

 人的交流を通じて、互いの組織についての透明性を図っていくというのが、このプログラムの趣旨です。

 この基地の概況説明、各施設の見学、意見交換、それに昼食事の会食などで大いに一行を歓待し、研修団の方々からは実のある研修でしたとのコメントをいただきました。

 このことが、日韓両国家間の信頼関係に少しでも役立てばと期待しています。

千歳基地杯少年フットサル大会での試合観戦を終えて:12月16日(水)

 千歳、恵庭、北広島、苫小牧から12チームが参加して二日間にわたる熱戦が基地の体育館で繰り広げられました。小学校3・4年生主体のチームでしたが、パス回しにシュートなどテックニックもあり、すばらしいゲームをみることができました。
 
 子ども達ひとりひとりは持っている力を十分に発揮できていたようです。また、各チーム共、日頃の練習どおりに実力を出し切ったうえでの勝敗だったように感じました。勝利したチーム、個人タイトルを獲得されたプレイヤーは本当におめでとうございます。明日からも、もっともっと体力をつけ技術を伸ばして、さらにチームプレイに磨きをかけてください。

 残念ながら勝てなかったチームの人は、今日のこのくやしさを忘れずにもっと練習に励み、個人的な技術力やチームとしての連携プレイを向上させていくことを期待します。

餅つき会:12月19日(木)

 千歳基地開庁50周年という大きな節目の年における最後の大きな行事である餅つき会を来賓の方々の出席をいただき本日行いました。
 
 幸いにして、今日まで大きな事故もなく、基地所在部隊は任務を全うし、訓練等において多大な成果を上げることができました。

 
 これは、基地に所属する隊員の尽力と地域住民の方々のご支援ご協力によるものと感謝しています。

 元来、日本人は餅を食することで、神の霊力を体内に迎え、生命力の再生と補強を願ったとされています。
 
 餅つき会では、これに加え、私共千歳基地所属隊員の北海道ひいては日本の大空を守ると
いう気概と、来賓の方々に代表となっていただき、地元と基地の共存共栄とその発展を進める意欲をつきあげる餅にこめることができたと思います。

 最後に、餅つきに協力いただいた千歳地方防衛協会女性部の方々に御礼申し上げて無事終了することができました。

新年を迎え:1月7日(月)

 新年を迎え、この基地に所属する隊員一人一人、公私に亘り新たな期待とその実現のための決意を図ったことと思います。
 また、所在する12個の部隊、それぞれにおいても任務の完遂を祈念されたことでしょう。

 
 私は、基地司令という立場で昨年最後の基地朝礼において、「千歳基地があたかも一つの大きな部隊であるかのように整斉と活動するよう、健全な基地運営に取り組むこと」を宣言しました。

 そこで、その具体的な目標、ビジョンについては、千歳基地新聞新年号に「年頭の辞」として述べたところです。
 一つ洞爺湖サ
ミット等への最大貢献、二つ、米軍機の訓練移転の円滑な受け入れ、三つ、基地警備態勢のさらなる強化、四つ、基地周辺地域等の信頼関係の深化、五つ目に、隊員の就職援護と募集、家族を含む福利厚生の向上です。

 今年一年、航空幕僚長の年頭の辞を受け、千歳基地にあっては私達、前線の、現地の隊員は、我が国の安全保障を全うするために、思う存分、行動していきたいと思います。そのために志を広く高く持ち、そして熱く燃えます。

新成人祝賀会にて思うこと:1月10日(木)

 今年、千歳基地でめでたく成人を迎えた隊員は約70名でした。既に出身地等において自治体主催の成人式を終えた隊員もいれば、これから帰省して、あるいは今月14日に予定されている千歳市の成人式の、いずれかに参加する隊員もいることでしょう。

 現代のようないわゆる成人式のルーツは、インターネット等で調べてみると、今から60年以上前に埼玉県のある町で実施された「青年祭」にあるようです。そのときの趣旨は「次代を担う青年達に明るい希望を持たせ励ます」というものであったとも記載されていました。

 しかしながら、昨今では、この趣旨よりも、地域によっては一般の成人者の七五三現象をはじめ、マナーの悪化、モラルの低下などが社会現象として取り沙汰されています。

 そこで、今日の祝賀会は、今一度当時の趣旨に則り、今後の我が国の安全保障を力強く担っていく成人隊員に、将来の航空自衛隊の展望を示しつつ激励したいとの発意で行ったものです。


 基地隊員の服装は、羽織袴、振り袖ではなく、自らの国の大空を守るという崇高な使命を果たす者だけが着装できる航空自衛隊の制服を身にまとっています。

 このことを大いに誇りとして、ぜひ自らの国を、地域を、同僚・友人を、地域住民を、そして家族を永きに亘り守るといった気概をもった優秀な人材に成長するように切に要望したところです。

 また、祝賀会には、山口千歳市長を始め、平素から基地の発展にご尽力を賜っております多数の方々にご出席いただき、誠に有り難く存じます。心から御礼申し上げます。

若き隊員とのコミュニケーション:1月23日(水)

 昨年末から、基地に起居をしている独身隊員(十数名程度)と、私を含む一部の部隊指揮官(隊長)・准曹士先任が、隊員間のコミュニケーションの促進を目的に、基地内(千歳基地クラブ)で飲食を共にするという企画を準備していました。 

 昨日、その第1回目をようやく催すことができました。悩み多き二十代と多くの悩みを乗り越えてきながらも依然として悩み多き(?)五十代のベテラン隊員との会話は、アルコールの影響も若干あるのか意外にも和気藹々と進み、あっという間の一時間半でした。

 ただし、若い隊員にしてみると、外出時間等が少し制約されたようなので、どのような思いであったかは後ほど知りたいものです。そういいながらも、この企画の一部改善をしながら、もう来月の日程調整を行うように決めてしまっているのですが・・・。

千歳地方防衛協会女性部「新年の集い」にお招きいただき:1月25日(金)

 「新年の集い」での挨拶に先立ち「婦人部創立30周年記念誌」を拝見しました。
 
 女性が自衛隊組織で活躍し始めた昭和40年代に女性部の前身である婦人部が設立されたこと、ジェンダー・フリーの取り沙汰された時代においていち早く女性部へ名称を変更されたことなどがわかり、女性部の皆様の積極進取の気概や熱意を強く感じることができました。 

 これまでの千歳地方防衛協会女性部会員の皆様の心暖かい気配りや親身な活動に感謝いたしますとともに、引き続き私ども自衛隊員に対するご協力と、地域の皆様への一層の防衛思想の普及啓発にご尽力いただけますようお願いをさせていただきました。

千歳基地ノルディックの試練:2月1日(金)

 今月15日には団のスキー(ノルディック)大会が予定されています。関係者によれば、「歴代団司令は率先垂範もあり、出走は必須」とのこと。
 ノルディックについては、10年前に八雲分屯基地での若干の経験はありますが、正直なところ苦手意識の強い競技です。

 とはいえ隊員衆目の中でのタイムレースですから、手抜きはもってのほかで、また中途半端な練習は怪我の元でもありますので、先月半ばからインストラクターの指導を受け、急速練成中です。

 が、予想通り伸び悩んでいます。どうもその原因は体力面よりも「センス」にありそうで、スキー板にはもちろんのこと訓練の調子にも‘乗れない’今日この頃です。

F-15型戦闘機が訓練を終えて帰還する様をみて:2月5日(火)

 今日、ある外国高官の一行を部下とともに基地内ベース・オペレーション前で見送る機会がありました。

 気温は氷点下でしたが晴天のもと、高官が大型機に搭乗され同機が駐機場にて最終点検を実施している間に、10機を超える千歳基地所属のF-15型戦闘機が一定の間隔を保ちながら列をなして、基地に帰還する状況に遭遇することが出来ました。

 操縦者ではない私にとって、次から次にとスピードブレーキをあげ、機首を持ち上げて滑走路にゆっくりと進入、接地するその様は優雅にも思え、また基地司令職の立場からすれば、「ああ、無事に帰還してくれたか」と、何ともいえない安堵感を覚えた時でした。

ベテラン職員に支えられた基地機能:2月8日(金)

 私は、時々基地内で勤務する隊員の職場や基地所在部隊の活動状況を見学することにしています。

 今日は、基地内配電所、ボイラー室などの基地生活基盤の重要施設を見て回りました。
 そこでは、自衛隊隊員という同じ身分にあっても有事に戦闘員となる自衛官とは異なる技官という職域のベテラン隊員が勤務しています。
 彼らは、自衛官よりも定年において長い勤務年限にあり、また同一基地での勤務も比較的長いため、その基地の関係設備の特性に精通しています。

 
 今日の見学では、基地のきわめて重要なライフラインは、こうした知識と経験が豊かなベテランの技官によっても的確に維持されていることをあらためて知ることが出来ました。

飛行安全褒賞の授与を初めて経験して:2月12日(火)

 航空自衛隊の飛行部隊は、1年間無事故を達成すると航空幕僚長から当該褒賞を賜る栄誉にあずかります。第2航空団は、先月31日に当該褒賞の条件を満たし、昨日(12日)市ヶ谷基地にて私と安全班長が代表して、賞状等をいただいて参りました。

 同賞は16年連続での受賞ではありますが、私をはじめ隊員一同気を緩めることなく万全の態勢で飛行運用や航空機整備等に取り組んでいくことを誓った次第です。

 さて、次は地上安全(業務、体育、交通、火災などの事故が約半年間無い状態)褒賞をいただけるよう、いろんなアイデアを捻出しながら隊員の溌剌とした活動を促していきたいと考えています。

冬期保命訓練を身をもって体験してみて:2月14日(木)

 毎年恒例の操縦者冬期水上保命訓練(2空団及び千歳救難隊が参加)を千歳川で行いました。 
 この訓練は、操縦者を主体に海上への不時着を想定して実施されているもので、操縦者ではない私は戦々恐々、興味津々の中での初参加となりました。

 この訓練を通して操縦者等の果たす任務には過酷な状況が伴うものなのだということをまた一つ改めて知り、さらなる飛行安全の追求を心に誓った次第です。
 当日は早朝から隊員支援のために、千歳基地協力者の皆様には豚汁、甘酒、おにぎり等を準備していただき、大変感謝いたします。

2空団スキー大会は装備隊の連覇で幕を閉じる:2月15日(金)

 翌16日(土)に今冬一番の降雪に見舞われたことを思うと、スキー大会当日は実に天候に恵まれ大会運営については強運であったようです。

 大会は7人リレー(上級者選抜チーム)、21人リレー(事前任意抽選された各隊等の代表チーム)、エキシビジョンの3部門で実施。さすがに基地では伝統ある大会の一つともあって、選手は個人と隊の名誉をかけて必死の形相でタイムレースに臨んでいました。 
 
 成績は団体総合3位に施設隊が入り一矢報いた以外は、優勝の装備隊と準優勝の修理隊が区間毎の個人タイトルをも総なめするという結果でした。
 彼らのこうしたやる気や団結力が先月末に達成した飛行安全褒賞の原動力の一つなのだなあと確信しました。
 
 ちなみに私は21人リレー・司令部チームの第1走者として出走。みごとに他選手においていかれ、チームの成績不振の元凶となりました。
 当日は千歳基地協力者の方々からパンプキン・スープの差し入れをいただきました。御礼申し上げます。

基地除雪隊にとってはまさに有事!:2月21日(木)

 昨晩から今朝までの積雪は10㌢未満、天候は回復傾向。基地に2本ある滑走路の除雪の様子を見るため、基地除雪隊の自走式スノースイーパーに同乗しました。

 除雪隊指揮官の指示により、除雪車両は天候急変で降雪の中を西側滑走路へ進出。しかし、除雪開始直後、救難機等の運航のため急遽東側滑走路へ移動することに。
 操縦手は降雪による視界不良の中、安全を確保しつつも指揮官及び管制塔等のボイスをモニター、あるいは適時に返答。

 これはまさに雪と時間との戦いであり、滑走路上の有事なのです。全除雪車両の動きは指揮官が無線でコントロールしており、そのボイスからは「指揮」とはかくあるべきという頼もしさすら感じることができました。
 その後、東側滑走路を解放(全車両は滑走路外の安全地帯で一時待機)し、無事に救難機等は離陸していきました。

 この間、厳しい任務を遂行しつつ、私に適切に説明、また回答してくれた北施隊・中山2曹に感謝します。

基地プールでも効果的な保命訓練ができるとは:2月22日(金)

 千歳川での保命訓練(2月14日雑感を参照)から一週間が経過した今日、千歳救難隊が基地内プールで救難機搭乗員を対象に自隊の保命訓練を実施することを知り、見学させてもらいました。

 現場での中澤救難隊長の説明によると、芦屋から借用している不時着水脱出訓練装置という器材を用いた今回の訓練は初めての試みだそうです。

 救難機、特にヘリの搭乗員にとっては不時着水した際の脱出にはかなり効果的とのこと。
 困難な状況下での救難救助に従事する者達。優れた救難能力はもとより、こうした訓練を通じて自らのサバイバル能力を大いに高めてもらいたいものです。

若き隊員とのコミュ(飲み)ニケーション・パート2:2月26日(火)

 すでに雑感(1月)の中で紹介した同表題の続編です。この場の設定の経緯等については1月23日分の記事を参照してください。
 
 さて、今回参加してもらったのは、基地に所在する救難、管制、気象の航空支援集団隷下部隊と北施第2作業隊の独身隊員(約30名(女性隊員を含む))でした。

 今回は、マイクを準備しての自己紹介となりましたが、各人のウィットの効いた楽しい挨拶やマイクパフォーマンスに加え、それぞれ所属する隊の特色を発揮(?)したコメントもあって、隊の垣根を越えての交流となり大いに盛り上がりました。

 勢いに乗せられてマイクステージに立つ羽目になった隊長や先任、御苦労様。

 思うに、『いまどきの若い者(隊員)・・・』、なかなか大した者です。

訓練移転に伴う米海軍機(F-18)との共同訓練終了!:2月29日(金)

 ある司令官曰く「実効性ある日米同盟を維持するには、『ガーデニング』と同様でたゆまなく手をかけてやる必要がある。」と。

 私も現場指揮官の一人として、同盟を漂流させたり、無効化させたりしないために、実力組織である自衛隊と米軍は常に相互運用の実を確保するよう強く意識しています。

 今回、岩国から展開してきた米海軍部隊とも飛行訓練のみならず、基地内クラブで当団隊員と共に懇親を図るなど、人的交流を図ったのは言うまでもありません。

 今後とも、同盟をより堅固なものにするため現場部隊レベルでも、数少ない今回のような訓練を通じて、地道ながらも着実な信頼醸成活動を行っていくべきことを確信した1週間でした。

事故が多発する今月は要注意:3月4日(火)

 全国的に素晴らしい天候に恵まれた平成20年の年明けから、もう3ヶ月。千歳も確実に春に向かっている気配が感じられます。

 「3月」といえば、過去の統計上、自衛隊の中でも各種事故等が多発している月でもあります。
 したがって、安全服務の観点ではきわめて注意を要する時期です。原因は、気象の変化、年度末業務の多忙感、子供の進学・就職の悩み等、いろいろと考えられます。こうした事故原因を完璧に排除することは至難の業かもしれません。

 ですが、まずはこうした悩ましい問題に背を向けず立ち向かう姿勢が大切です。時として、周囲と相談してみてはいかがでしょう。
 
 自衛官は危機管理に優れた能力を持つ職業人です。ひとりよりふたりの智恵、ふたりよりグループの智恵、これらは、より確かな解決策を生み出す可能性を持っています。さしあたり今月の事故半減を期待します。

着任後、半年が経ち:3月4日(火)

 着任して半年、私自身の勤務方針を明らかにしながらも、どちらかというと前司令が定められた19年度の各種計画等を踏襲し、その引かれた線路の上を元気いっぱい走ってきたに過ぎないと思います。 

 一方で、平成20年度はこれまで私が自分の目で見、自分の耳で聞き、そして自分の肌で感じたことをもとに、基地司令として、2空団司令としての役目を果たしていきたいと考えています。

 この半年の間、スケジュールの合間に現場とそこで働く隊員を見続けて来たつもりです、これからもそうありたいと思っています。
 現場で汗をもろともせず仕事に打ち込む隊員、寒風の中にたたずみ安全確保を図る隊員、周囲との連携を図り装備を操る隊員、そしてすばらしい笑顔で敬礼してくる隊員。

 私は平成20年度では、こうした隊員のひたむきな姿勢を正しく評価して、まだまだ持っている潜在的能力を発揮させ、すばらしい実績と実力を持つ基地、航空団づくりを目指します。
 基地内で勤務している多くの隊員の努力を無にしないために、地道に、そして着実に改革・改善に励む意欲だけは失わないようにしたいものです。

苫小牧出身自衛隊入隊予定者激励会に出席して:3月7日(金)

 苫小牧から20数名の高校卒業者が自衛隊に入隊されるということで、苫小牧自衛隊協力会連合会及び苫小牧市のご尽力により、盛大な激励会が催されました。

 その席にて私も、区隊長として新隊員の教育を担当したこと、術科学校で教官を務めたこと、そして空自隊員の人事業務に従事したことなど、これまでの自衛隊での経験をもとに、入隊予定者やそれぞれの父兄に少しでも安心してもらえるよう意識して祝辞を述べさせていただきました。

 また、日々の任務・訓練等に邁進する現場部隊の自衛隊員を実際にご覧いただければ、不祥事による防衛省・自衛隊への負のイメージは払拭され、入隊してよかった、入隊させて間違いではなかったと必ずや得心していただけます、と誓った次第です。

 なお、この会で初めて航空自衛隊の新制服を着用してみましたが、果たして出席者の方の印象はどうだったのでしょうか・・・

千歳基地航学会から寄贈された千歳基地所属のF-86F模型:3月10日(月)

 千歳基地に所属する航空学生出身隊員(これまで所属した同隊員を含む)で構成された千歳基地航学会を代表し、特別航空輸送隊・飛行隊長の塙1佐をはじめ3名の隊員から、千歳基地開庁50周年を記念してF-86F戦闘機の模型(1/32)が寄贈されました。

 このショーケースに入った模型は、昭和32年5月千歳基地開庁に当たり浜松基地から最初に飛来したF-86Fを忠実に再現したもので、航空自衛隊の歴史上においても貴重なものです。

 しばらくの間、司令部庁舎(200ビル)2階に展示させていただき、詳細な説明資料等が完成した時点をもって、基地広報館に移設、記念展示したいと考えております。ぜひ一度ご覧になってください。

市ヶ谷出張時にみかけた桜:3月11日(月)

 市ヶ谷に出張した折に、満開に近い状態にある木々を見つけて思わず立ち止まってしばらく見入ってしまいました。
 桜の一種で、寒緋桜と早咲き大島桜の自然交配種になる河津桜と記されていました(写真の通り)。

 残雪の千歳から出張してきた私は、この春めいた日差しと陽気に汗ばみながら、まだ防衛庁が赤坂にあった頃、課業を終えた以降に青山・神宮方面の桜並木の中を走ったことを思い出してしまいました。

 今年は北海道で桜を観ることになるでしょうが、今から満開の時期が待たれます。

QCサークル活動に期待すること:3月19日(水)

 第2航空団のQCサークル活動(職場で働く人々が継続的に製品・サービス・仕事などの質の管理・改善を行う小グループ)は、昭和57年に整備補給群が導入した以降、飛行群、基地業務群も加わり、近年では道内大会、全日本選抜大会への出場、そして名誉ある各賞の受賞と、活発に行われ成果をあげています。

 今日、その団内の発表会を基地体育館において、部外からの専門審査員2名と他基地からの聴講者も得た中で行いました。
 参加した9つのサークルはいずれも後進育成を念頭に置き、考え抜かれた業務改善内容で、何度も大きく頷かされる場面がありました。

 表彰されたサークルについては、この発表会での講評等をもとに全国大会(札幌)及び北海道支部大会(苫小牧、室蘭、札幌)を目指しさらにプレゼンに磨きをかけてもらいたいと思います。

 このQCサークルには、私自身大いに関心を持っていて、各種大会や交流会に参加しています。
 単なる受賞のための活動ではなく、実務に反映することはもちろんのこと、人生においてさえ得るところの大きい活動ですので、ぜひとも多くの隊員が取り組んでくれることを期待しています。
 装備隊「パワーズ2007」、今年も最優秀賞、おめでとう!

「千歳基地除雪隊の編成を解く!」:3月19日(水)

 昨年11月29日に実施した当隊の編成完結式から、ほぼ4ヶ月。基地除雪隊の隊員1人1人の、まさに献身的な除雪作業のおかげで、冬期間における航空機の安全運航と基地諸機能の維持を図ることができました。 

 私自身、雪のため視界不良の中、除雪車両に同乗した経験からしてみると、よくぞ無事に作業を全うしてくれたなあと、心から感謝の気持ちでいっぱいです。

 しかし、安堵するばかりではいけません。ぜひ今年の降雪状況及び除雪結果を踏まえ、来年度の除雪作業に向けた教訓とその対策をすみやかにとりまとめておくことが大切です。

 基地除雪隊ばかりでなく基地所属隊員とすでに解散した非常勤隊員による各々の人力除雪隊に対してもあらためて感謝の意を表したいと思います。

 本当にありがとう、そしてご苦労様。これをもって今年度の基地除雪隊の編成を解く!

第2航空団のビジョンを作成、隊員へ周知します:3月25日(火)

 今月末から来月始めにかけ、多くの隊員の転出入があります。この定期異動による人の入れ替わりがあっても、基地には、団には、もちろん群にも、隊にも、変えてはいけない、あるいは今後とも変わらず追求しなければならないものがあるはずです。

 団司令の立場からすると、団の伝統であり、その気風、気質であろうと思っています。では、引き継いでいる伝統とは具体的に何なのか。過去のいかなる業績に根ざしているのか。これからはそれを背負って何をしていけばいいのか。この先に追い求める団の理想的な姿とは何なのか。

 着任して約半年、自問自答の末に、今後追求すべき2空団の理想像を「ビジョン2015」として、作製してみました。
 隊員及びその家族等に周知してもらうために新年度のできるだけ早い時期に、携行用折りたたみカードと家族等にも理解してもらうためのリーフレットを作製、配布することとしています。
 
 隊員1人1人が大いに自らを啓発して隊務運営に励んでもらうために少しでも役立てば幸いです。

北海道洞爺湖サミットに向けて準備すべきひとつは、基地警備:3月28日(金)

 いよいよ北海道洞爺湖サミット開催まで明日でちょうど100日となりました。

 道内外でもサミット期間中の警備・保全に関する話題が頻繁に取り沙汰されるようになってきました。また基地内でも陸自との協同訓練及び基地独自の警備訓練も活発化してきています。

 今回のサミットに関わる基地警備は、訓練ではなく、実任務となりますので、隊員の練度向上に一層励み、基地としてしっかりとした構えと備えを整えていきます。

50周年の年が終わり、新年度を迎えて :4月3日(木)

 新年度を迎え、基地に所在する各隊は、定期異動に伴う新たな人的態勢をもって、新年度の各種計画に基づき任務を遂行することになります。

 基地という観点では、まもなく基地創立50周年記念関連の事業が終わろうとしています。最後の事業となる50周年記念誌もその製作を終えました。

 ぜひ、半世紀という大きな節目の年に千歳基地で勤務したことを物理的な記憶・思い出として末永く残すために、多くの隊員に所持してもらいたいです。

 基地としてこれから達成すべき目標という観点では、すでに年頭の辞として5つの項目を基地新聞新年号や基地のホームページで公約的に示しています。その内の一番目が7月開催予定の北海道洞爺湖サミット・千歳支笏湖ジュニアサミットに最大貢献することです。

 達成すべき目標の三番目は、基地の不測事態の発生に対する備えの強化です。特に基地警備を重視していますが、これもサミット等を実践の場ととらえて、着々とその態勢を強化しつつあります。
 こうしたことから、基地に所在する12個の各部隊は、それぞれの隊務運営に精励するとともに、基地の目標達成のためにさらなる団結強化、相互協力を切に要望します。

千歳基地准曹会懇親会の挨拶に立って :4月4(金)

 基地准曹会会員の皆さんには、准曹会規約にあるとおり平素からの所在部隊間の団結、効率的な隊務運営への貢献、そして特に若年隊員の指導に対する感謝の意を表します。本当に有り難うございます。

 私は、最近とみに「人材を育てる」「後進を育てる」ということに関心を持つようになりました。私自身、この「人を育てる」といったテーマで大切なのは、双方向のコミュニケーションだと思います。

 このために私なりの努力すべきポイントは3つです。ひとつには聞く力と話す力をバランスよく備えること、ふたつには、階級の上下を保った上で、相手に対する、尊敬、期待、激励、いたわり、思いやり、気配り等、様々な心情を込めることができるコミュニケーション・スキルを磨くこと、そしてみっつ目には、何よりも相手に接する機会を積極的に持つことです。

 千歳基地准曹会の皆さん、所属する自らの隊はもちろんのこと、基地全体のコミュニケーション・ネットワークを拡げていきましょう。そして千歳基地から空自の他基地等にコミュニケーション・パワーを発信していきましょう。

2空団で「ビジョン」を作製した訳 : 4月8日(火)

 先月、2空団のビジョンを作製しました。
 ビジョンを辞書で引いてみますと「将来のあるべき姿を描いたもの。将来の見通し。構想。未来図。未来像。」とあります。
 
 具体的な例を挙げてみます。先月、スペースシャトル「エンデバー」で日本人飛行士・土井隆雄さんが無事地球に帰還されたことはニュース等で知っての通りです。
 彼が国際宇宙ステーションに取り付けた「希望」、日本が担当する実験棟の一部である船内保管室は、日本の宇宙開発ビジョンに基づく第1段階でした。
 今回の成功で、日本の宇宙開発は大きな前進を遂げ、国民にさらなる宇宙での夢の実現を予感させてくれました。

 一見、不可能なことも中長期的なビジョンを持つことで各種の変革と改善を引き出し、可能にすることができるのです。だから、2空団でもビジョンを作りたかったわけです。

基地創立50周年記念ファイナル・パーティを開催 : 4月10日(木)

 昨年5月9日に千歳基地開庁記念事業の実施についての通達を前司令が決裁した以降、翌10日の改装した特輸機の一般公開を皮切りに、各種記念事業を行い、このパーティをもって全ての事業を無事終了しました。

 この一年間、実施してきました事業・行事は大変多くの皆様から協力を得たものばかりであります。各位にあらためて深く御礼を申し上げます。

 私たち、千歳基地所在の隊員は50周年記念行事の終了を待たずして、すでに新たな半世紀に向けて歩み出しています。平成20年度をその初年度として位置づけ上半期では、7月開催予定の北海道洞爺湖サミット、そしてJ8サミットそれぞれへの貢献を最大の目標としています。 

 また8月10日の基地航空祭を終えた以降の下半期になりますと、空自全体の各種大会が計画されています。今年度もぜひとも多大な成果を収めたいものです。

千歳地方隊友会総会後の懇親の場にて : 4月13日(日)

 千歳地方隊友会が、会の方針である「国民と自衛隊の架け橋」となる各種事業をこれまで推進されてこられた実績と、平成20年度以降も会員規模及び事業の拡充を計画されていることに対して、心から敬意を表します。

 懇親の場では二つお話をさせていただきました。

 まずひとつめは、同会の過去の実績から、今後とも在日米軍の再編に伴う訓練移転関連等で千歳基地が米軍との間で交流事業を実施することがあれば、千歳隊友会からもご協力をお願いできればと個人的には考えています。

 ふたつめは、千歳隊友会が来年50周年を迎えられるにあたり、これまでの自衛隊諸業務への支援協力等に対する御礼の意味で何か協力ができればとも思っています。
 
 これからも、同会の益々のご発展と自衛隊員に対するご協力と、地域にあって一層の防衛思想の普及にご尽力いただくことをお願いしてきました。

14期後段イラク復興支援派遣輸送航空隊員も無事に帰隊:4月19日(土)

 この期は、昨年末に派遣され年を越しての帰国となりました。今回も4ヶ月にわたる厳しい環境の中での勤務を終えての無事の帰隊となり、本当に安堵しています。
 
 また、帰隊する派遣隊員を出迎える時にもう1つホッとするのは、御家族の皆さんの晴れやかな顔を見ることです。こうした笑顔に支えられているからこそ、現地での過酷な勤務にも立ち向かっていけるのだと思います。

 今やイラク復興支援派遣輸送航空隊の存在と活躍は、インド洋で給油任務を遂行している海自艦艇部隊と共に、自衛隊の海外派遣に関わる恒久法の制定の鍵とも言えるのではないでしょうか。

今年度3/四半期に定年退職を迎える隊員に求めること:4月21日(月)

 千歳基地も、当基地就職援護室を中心に若年退職隊員の再就職のために、北海道全域において積極的に活動しています。取り組み姿勢とその業務量は、かなりのものだと自負しています。

 ですが、決してこの組織的な活動だけに依存することなく個人での就職先の検討や具体的な就職活動に努めてもらいたいと思います。よりよい就職先、自らに最適な就職先に1歩でも近づくためです。

 また、残りの現役期間を一層充実して勤務することも大切です。このこと自体が後進の育成に直結するのですから。

北海道地区で就職援護を担当する隊員に認識してもらいたいこと:4月23日(水)

 今日は、北海道地区の就職援護担当隊員に対す教育の場において①北海道における雇用現況、②基地としての北海道地区における就職援護に関する取り組み姿勢、そして③就職援護隊員に期待する役割について話をする機会がありました。

 特に、彼らに期待する役割について強調したつもりでいます。私は、就職援護活動は、退職自衛官本人、就職援護活動の任につく現役自衛官、指揮官等の三位一体で行うべきだと確信しています。

 再就職する本人は、自らの能力向上、資格獲得、人格形成等に努力する。担当者は将来自分自身も該当するとの当事者意識を持って任務を全うする。
 指揮官は、身上把握の上で親身に相談に応じる等の監督指導を励行する。こうしたことの相乗効果で、よりよい就職先を、適正な企業を確保することができると信じています。

「千歳市における自衛隊の体制維持を求める期成会」で講話させていただき光栄です:4月25日(金)

 昨年度は、北海道洞爺湖サミットに関わる題材を中心に基地内外での講話を幾つか行ってきましたが、新年度においてはオリンピックイヤーということもあり、中国に焦点を当てて幾つか題材を準備しておりました。

 しかしながら、今月17日、名古屋高裁において「自衛隊のイラク派兵差止等請求訴訟事件の判決で、国側が全面勝訴したものの、空自の空輸活動が憲法9条及びイラク特措法に違反するとの判断が示されました。

 このため、防衛省自衛隊の存在及びその活動に日頃から深い関心をお持ちいただいている地域の方々に、イラク復興支援派遣輸送航空隊の①活動上の環境、②空輸の活動、③空輸以外の活動等をあらためて説明させていただきました。

後進を育成するために役立つならばとの思いから・・・:5月2日(金)

 予算の制約及び定員削減等と自衛隊を取り巻く人的・物的環境は厳しく、この傾向は今後とも継続する模様です。
 一方、イラク派遣に代表される国際貢献活動や周辺空域での他国軍機による航空活動の活発化への対応等もあって、航空自衛隊が担当する業務量は増加、拡大しています。

 こうした状況下で、業務の質を下げることなく任務を果たしていくためには、隊員の1人1人が使命の自覚を深め、業務処理能力を一層高めることにより、個人のさらなる充実を図ることが極めて大切ではないでしょうか。

 そこで、2空団に所属する若き幹部を主対象に、より効果的な幕僚活動を促すことを主眼として、私のこれまでの実務経験をもとに座学教育を実施する準備を進めています。果たしてどの程度の効果があるのかは分かりませんが、とにかく試みてみるつもりです。

今月も基地殉職隊員に対する慰霊行事を実施:5月12日(月)

 多くの基地がそうであるように、千歳基地にも殉職隊員の御霊を追悼するために慰霊碑(「雄魂碑(ゆうこんひ)」)が昭和44年に基地正門から入ってまもなくのところに建立されています。

 当該碑の参拝行事については、殉職隊員の月命日が含まれる月の始めを基準に2空団の代表隊員によって当該碑の参拝を執り行っています。
 ただし、今月は黄金週間の関係から、本日実施した次第です。

 
 今日も参拝した隊員の誰もが、我が国の防空に身命を賭された幾多の先人の御霊が安らかであることと、飛行安全への誓いを新たに任務の完遂を祈念したことはいうまでもありません。

 なお、基地主催の慰霊祭につきましては、基地行事として別途行っていますことを付言させていただきます。

統幕学校の学生等による基地研修を受け入れて:5月13日(火)

 統合幕僚学校・第4期統合高級課程学生等(階級構成は各自衛隊の1・2佐)、約50名が学校教育の一環として隣接する部隊等と合わせ当基地を半日研修する機会を得ました。
 
 彼/彼女らは、今年7月卒業が予定されている自衛隊統合運用の担い手として大いに期待されている人材です。わずかな時間ではありますが、現場部隊の雰囲気を感じ取ってもらえたならば幸いです。

 7年前に上司の米国出張に随行して米軍のある統合司令部を訪問した際に、米軍指揮官が私たちに説明してくれたことを思い出します。米軍は1990年代、予算及び人的制約から統合路線を追求せざるを得なかったこと、4軍種が制服の色にかかわらず共通(統合)の任務を遂行するのに10年という年月を要したという内容であったと記憶しています。

 自衛隊にあっては、統合の態勢を充実させていく上では大小の課題に取り組み解決していかなければなりません。こうした観点でも、今回当基地を研修された学生の皆さんは最新の知識をもとに次の補職先で、あるいは関連する業務において統合の中核的存在として活躍されることを期待しています。

千歳気象隊による海霧観測は、洞爺湖サミットにも一役:5月19日(月)

 今日から、千歳基地に所在する空自支援集団隷下の気象隊が、夏季の飛行訓練等の安全を確保することを主たる目的として、苫小牧市に航空気象要員を配置して海霧(シーフォグ)の観測を開始しました。
 昭和38年以降、毎年実施されている業務で、第2航空団も戦闘機の運航に関してその恩恵を大いに得ている部隊のひとつです。

 また、今年はG8サミットが7月に開催されますので、各国大統領等の要人を適時要所に空輸する上でも、政府にとっても特に重要な気象情報となるはずです。
 
 海霧の航空機運航に与える影響を私は今年初めて経験することになるのですが、夏季期間に頻繁に、かつ短い時間で千歳周辺に進入する海霧はこの基地における日々の戦闘機訓練やサミットに関わる官民の各種航空機にとって悩ましい問題です。

航空自衛隊英語弁論大会での好成績を目指して発進!:5月20日(火)

 空自でも、日米共同の発展や各種の国際貢献活動を考慮してこれまで英語能力の向上に努めてきています。
 今年度は来年2月頃に空自全部隊から選抜された隊員によって英語弁論大会が開催される計画です。

 そこで、2空団としては本番に向けての練成時間を確保するために、いち早く選手の選考を行いました。
 選考会を終えてみて感じるのは、やはり論文の作成や英語スピーチに関する準備時間を主催側として十分に提供してあげられなかったこともあり、参加した隊員の多くに粗さが目立ったようです。
 それでも、自らの体験や主張を審査員や聴衆の前で堂々とスピーチする姿勢に感心した次第です。 

 こうした大会は、決して特定隊員の語学能力向上を図るだけではなく、全隊員の能力向上をも目的にしています。
 すでに作成済みの「2空団ビジョン」でも、「国際化」を掲げています。もちろん私も、基地隊員の一人としてもう一度英会話に磨きをかけていくことにしています。

航空自衛隊の活動領域は航空宇宙へ!?:5月23日(金)

 先日、自衛権の範囲内で宇宙の軍事利用をも可能とする「航空宇宙基本法」が成立したのはご存じの通りです。
 7、8年前になりますが、航空幕僚監部に勤務していたときに担当業務の一環で新たに作成する航空自衛隊の将来ビジョンについて関係部署等と議論をしたことがありました。

 そのひとつの議題が、空自はその活動領域を15年程度先には宇宙空間まで拡大していくべきか否かでした。当然ながら議論は予算や優先事業などの観点から白熱したことをよく覚えています。

 当時、議論の前提を、宇宙の平和利用という限定は近い将来改正されるものと置いていたこともあって、このたびの「宇宙基本法」の成立はその見通しの正しさを証明したものと言えます。

 空自は、この法の成立を受け「我が国の安全保障に資すること」を旨に、いよいよ航空宇宙の領域で活動していくことになるものと大いなる期待を持った次第です。

2空団所属隊員も一部参加する日米共同訓練「レッド・フラッグ」がいよいよ始まる:5月30日(金)

 今日、千歳基地で「レッド・フラッグ」参加部隊への編成完結式が行われました。来月3日には2空団のF-15型機がアラスカへ向けて出発する予定です。

 この式に先立ち、昨日当該訓練に参加する操縦者の後席で、戦技要領を確認する機会を得ましたが、上々の仕上がりで貴重な訓練成果が待たれるところです。
 
 この訓練自体は米国・アラスカ州で約1ヶ月にわたり行われます。空自関係部隊から参加している約210名の隊員全員が無事にこの訓練を終了し、帰国してくれることを祈念します。

 この間、千歳基地は1ヶ月後に迫った北海道洞爺湖サミットの最終準備にも当たりますので、今年度最も多忙を極める時期となるでしょう。
 ただし、基地に所在する隊員には笑いや楽しみを忘れさせることなく、国家行事の成功という目的を達成するよう配慮するつもりです。

初の国際マラソン参加で完走はしたものの・・・! :6月1日(日)

 今年で第28回を迎える「千歳JAL国際マラソン」が行われ、私もハーフ(約21キロ)マラソンに挑戦してみました。ちなみに基地からは三百数十名の男女隊員が参加したようです。

 当日は、あいにくの雨天で走路の一部はぬかるんでいて走者にとっても支援・応援の人たちにとっても良いコンディションではありませんでした。
 好天であれば、小鳥のさえずりを聞きながらマイナスイオン豊富な木立の中を快走することができるすばらしいコースです。

 私はというと、昨年10月の2空団が主催した「支笏湖マラソン(距離は約19キロ)」以来少しずつ体力錬成をしていたこともあって、それなりのタイムでゴールし達成感を得ることができました。
 しかし、やはり『疾走するぞ!』という気持ちほどには、体はついてこれなかったようで、その日の夕方から3~4日間、筋肉痛に悩まされました。

千歳基地OB会とは、『共存共済』の関係を目指します :6月6日(金)

 千歳には、「千鷲会」という退職自衛官と賛助会員からなるOB会があります。基地及び私をはじめとする現役の基地所属隊員は日頃からの同会の多岐にわたる活動に大変感謝しています。

 私は、地域と基地が共存共栄であるならば、千鷲会と基地は「共存共済」であると考えています。共に組織が存続していくために、共に助け合っていく姿勢が大切だと思うからです。

 『現役隊員は、隊員の再就職を積極的に行い、家族及びOBを尊重しつつ隊務を遂行する。一方、OBには基地の各種行事への参加、協力等を行っていただき、そして募集に貢献してもらう。』といった関係を望んでいます。

 千鷲会は昭和57年創立ですので今年26年目を迎えます。次なる四半世紀に向けての新たなスタートの年とも言えます。益々のご興隆を祈念しております。

戦闘機による対地訓練を同乗視察 :6月10日(火)

 私は操縦職ではないのですが、計画的にF-15型機の後席に同乗して飛行訓練状況を確認する機会があります。
 今回は初めての空対地射爆撃訓練を経験しました。

 この訓練は、関係射爆撃場の制約が多いために、2空団としても年1,2回程度しか実施できない項目で、さらに、パイロットが地上の目標を見て自分の位置を確認しなければならないため、当日の天候にも大きな影響を受けるものです。

 今日は、天候に比較的恵まれ、計画(慣熟を含め計20回程度の訓練パターン)どおりの訓練を行うことができました。
 短い時間の中で急降下・急上昇・急旋回を繰り返すので決して快適ではありませんが、前席で操縦する201飛行隊・菊地2尉のおかげで、さほど気分的に辛い状況に陥ることはなく無事に当該訓練を終了。

 対地射爆撃訓練でも、操縦者はこうした過酷な訓練を強いられ、整備員をはじめとする地上職の多くの隊員はトラブルのない機体、適切な情報を提供することなどを求められていることをあらためて知るところとなり大変有意義な1時間でした。

人間ドックの結果から、職務邁進に自信 :6月12日(木)

 一泊二日の短期精査、いわゆる人間ドックのため自衛隊病院に入院しました。
 結果として、ほとんどの検査項目において異常がなく、大いに安堵した次第です。正直なところ内視鏡は避けたいのですが、個人の健康を確信するにはこの検査は必須のようです。

 ですが、この検査結果に異常がなかったからといって全くの健康体だと過信はしないようにと担当医からの注意換気がありました。

 
 それでも、この千歳基地で勤務し北海道で生活する上で、今回の結果は本当に嬉しく、これからの①米国アラスカ州で共同訓練中の団派遣隊員の帰国(6月下旬)②北海道洞爺湖サミット支援(7月上旬)③8月10日の基地航空祭など、直近の目白押し事業に後顧の憂いなく隊員と共に取り組んでいけます。

基地野球部の都市対抗地区予選・初戦を観戦して :6月15日(日)

 第79会都市対抗野球北海道地区予選大会が今月13日から始まりました。千歳基地野球部は、創部以来の念願である東京ドームでの試合を目指し、オール苫小牧との初戦に辛勝です。

 先攻の基地野球部は9回表の時点で2点差(4対6)の大ピンチ。結果として攻撃陣が3点を獲得して逆転、その最終回・裏をしっかり守り抜き勝利しました。

 自ら劣勢に陥った感があったものの、最終回・土壇場での再逆転勝利は、日頃の鍛錬の賜(タイムリーヒット)はもちろんですが、勝つことを信じる監督をはじめ選手全員の気持ち(選手相互の信頼)に、幸運(相手選手のイレギュラー)が味方してくれたことによるものだと思います。

 トーナメント方式の崖っぷち勝負では、チームの実力に加えてツキを呼び込めるか否かが勝ち上がるうえで大切なのではないでしょうか。次の一次予選試合は20日岩見沢、行き足上々の野球部員の活躍を期待します。

洞爺湖サミットに関わる諸活動は、作戦意識のもとに! :6月19日(木)

 個人的には、サミットにかかわる自衛隊の支援活動は『作戦』に値するものと考えています。 
 この『作戦』を全うするために、この基地も昨年から諸準備を周到に行い所望の対応能力の向上を図り、かなりの実力と自信を得たものと確信しています。

 私自身は、この『作戦』に臨むに当たり、「掌握」と「即断」の2つのキー・ワードを念頭に置いています。人員・装備の基地出入りが活発な状況を考えて、的確な対応を行う上での基本事項として「掌握」を、また状況の急変に伴い十分な情報を入手できない中にあって最適な措置を講ずることの急務性から「即断」を選択したものです。

 基地に所属する隊員が一致団結して今回のサミットを安全保障の面で成功に導くことと、一連の関連活動を通じて各人が能力・精神の両面において成長を遂げることを期待しています。

レッド・フラッグ演習終了に伴う戦闘機及び一部要員が無事帰国 :6月23日(月)

 遙かなるALASKAより長駆、帰りたるF-15×6機。

 歓喜に沸き立つAPRON上。

 我、安堵するも、後日、帰隊の訓練指揮官・派遣隊員に思いを馳せつつ、迫るSUMMITに身を引き締め直す。

ちょっとしたヘリコプターの航空ショー!?:7月3日(木)

 北海道洞爺湖サミットに関わる支援任務のために、陸上・航空各自衛隊及び米軍の回転翼機(ヘリ)約40機がこの千歳基地に集結しました。
 通常使用しているエプロン地区以外の敷地にも数機を駐機しなければならないぐらいの混みようです。

 戦闘機、輸送機の他に、ヘリがこれだけの規模で千歳へ展開してきたのは、基地が開庁して50年の中でも初めてではないでしょうか。

 米国大統領専用ヘリも含まれていることもあって、その整然と並べられた状態は壮観で、つい目を留めてしまいます。任務上、一般公開できないのが本当に残念でなりません。

初の試みとして、「基地司令かわら版」を発刊します:7月4日(金)

 洞爺湖サミット準備・開催の間、基地外から陸・空自の隊員約800名を受け入れることから、サミット支援活動という共通の任務に従事する部隊の団結を、この「かわら版」(*A4縦用紙1枚での事務連絡形式)で呼びかけます。

 タイトルは、「共に、作戦意識を持って北海道洞爺湖サミットに貢献しましょう!」
 内容の要約としては、①サミット関連活動は、有事対応の延長上で捉え、まさに「作戦」の一環という認識で実行すべき。②大規模な人員・装備の受け入れと陸空協同の厳重な警備のために居住面が良好とは言い難い状況にあるため、基地業務の担当部隊(2空団)としては、創意工夫による改善に努める所存。

 そして最後に、③『私自身、自衛隊員の一人として、サミット支援活動に関与できることを大いに誇りに思っています。
 ぜひ、期せずして、千歳基地に同一目的達成のために集結した全ての部隊・隊員が一致団結して、サミットを安全確保の面で成功に導いていこうではありませんか。』と結ばせていただきます。

基地野球部が待ちに待った決勝戦についに進出!:7月5日(土)

 千歳基地として明日から開催される北海道洞爺湖サミットのために万全の態勢を整えて厳重な警備を行っている最中、何とも嬉しい知らせが札幌・円山球場から入ってきました。
 都市対抗北海道地区予選に出場している千歳基地硬式野球部が、「室蘭シャークス」を破り、決勝戦に進出するというものでした。まさに創部以来の快挙です。

 私は、サミット対応のため試合会場での応援ができずにいたこともあって、準決勝戦での勝利を確認した直後に、基地内一斉放送をかけさせたくらい歓喜した次第です。

 明日はいよいよ宿敵「JR北海道」との決勝戦。頑張れ!基地野球部員、朗報を待っています。(後日談:惜しくも優勝は逃しました)

新千歳空港における洞爺湖サミット参加国要人の出迎え行事に参列:7月9日(水)

 7月7日(月)から今日までの3日間、サミット等の会合に出席する22カ国の要人を北海道知事、千歳及び苫小牧両市町等と共に防衛省の代表として出迎えるという栄誉ある役目を与えていただきました。

 要人の中には長旅でお疲れのようにお見受けした方もいらっしゃいましたが、総じて威風堂々とした姿で専用機等のタラップを降りてこられたのが印象的でした。

 私も、それぞれの要人等に対して簡単な歓迎の挨拶をさせていただきました。要人等からは、握手に加えて、その多くの方が謝意を表されました。

 全ての出迎え行事が終了してあらためて思うことは、この時期に偶然とはいえ、千歳基地司令の職にあり本当に幸運だったなあということ。自衛官冥利に尽きる3日間でした。

千歳基地かわら版第2号を発刊:7月10日(木)

 洞爺湖サミットが無事に終了したことに伴って、千歳基地かわら版の続号を発刊しました。
 今回は、この基地で共に勤務した隊員に感謝の意を取り急ぎ伝えたかったわけです。タイトルは、「洞爺湖サミット支援任務を遂行された全部隊等を称えます!」。

 この中で、この基地におけるサミット期間中の各支援活動を私なりに総括してみました。

 ①要人空輸や警戒監視については、天候不順で計画変更を余儀なくされたものの、整斉と行われた。②基地の警備においては、陸空協同の指揮関係のもとかつてない規模での態勢をとり警察とも連携を図りながら広大な敷地を厳重に警備できた。③不測事態対処については、関係部隊は万全の態勢をとっていたが、幸いにして関連事態は生起せず。

 今日以降、他駐屯地、基地等から展開してこられた全ての隊員が無事に原隊に到着されることを心から祈念しています。お疲れ様でした。

基地航空祭祝賀会でお出しするオードブルを決定:7月18日(金)

 サミットに関連する支援活動を無事に終了してホッとする間もなく、次は基地航空祭の準備が本格的に始まりました。

 今日は、航空祭祝賀会で来賓等に食していただく和・洋のオードブルと、当日の隊員に提供する祝い弁当のそれぞれサンプルを基地業務群・給養小隊が準備したとのことで、さっそく食堂で評価と選定作業を行ないました。

 小一時間で概ね決まりましたが、少し工夫を加え仕上がり状態を後日あらためて確認することにしました。それにしても、気がつけば三週間後には基地航空祭。

 今年の前半は「レッド・フラッグ・アラスカ」演習、洞爺湖サミット、そしてこの航空祭と大きな行事が立て続けで時が経つのが本当に早く感じられます。

 隊員には、航空祭が終了した以降、夏期休暇をとらせることにしていますが、これまで本当によく頑張ってくれています。ありがとう。

千歳の夏祭りが始まる:7月19日(土)

 北海道の短い夏を盛り上げるお祭りが各地で開催。

 今日は、千歳でも皮切りとなる「スカイビア&YOSAKOI祭」がオープン。

 セレモニーでの冷たい生ビールを冷茶に代えて、同夕刻、4ヶ月の過酷な勤務を無事終えてクウェートから帰国する在道部隊の隊員を千歳基地所属隊員と共に歓喜の中で出迎える。

任期制隊員の退職する式典では常に複雑な気持ちです:7月25日(金)

 今日、私の部下5名が3年間、又は5年間の任期を満了して退官していきました。
 彼らの年齢は皆20代。第2航空団のそれぞれの部署で活躍してくれました。全員新たな就職先が決まった上での退職ですから基本的には憂うことはありませんし、任期制隊員は元々自衛隊の制度として確立しているものです。

 ですが、昨日まで共に汗してきたもの同士という感覚がありますし、ましてや今月の北海道洞爺湖サミット支援活動等をやり遂げた直後だけに、何かしら寂しさがこみ上げてきます。

 ひとつには、彼らが私自身の子供達と年齢がほぼ同じということもあるでしょう。それだけに、彼らのこれからの人生に幸多かれと願わざるを得ません。

2空団・副司令(佐藤敏博1佐)がまもなく定年退官:7月26日(土)

 今日、私が基地司令として、第2航空団司令として、かろうじて職務を全うできているのは、もちろん全部下隊員、基地所属隊員、地域協力者の方々のおかげではありますが、中でも副司令の絶大な力添えがなければここまで隊務運営を無事に進めてこれなかったと心底思っています。
 
 航空団勤務の経験が乏しい私にとって、佐藤副司令は人格高邁な得難い人材でした。

 佐藤副司令、あと数日の現役勤務においても私との二人三脚で2空団の指揮統率を楽しくやっていきましょう。
 また勧奨退職後も、引き続き健全な部隊運営のために時には厳しい指摘を、またあるときは優しいアドバイスをいただければ幸いです。

快晴下での基地航空祭は大盛況、天運に感謝!:8月11日(月)

 航空祭が終了した昨夜は、ひとり官舎で祝杯をあげました。缶ビールがこれほど美味しいものとは。
 昨年9月の着任以来、1年間にわたる基地の各種主要行事を、すばらしい天候に恵まれた航空祭をもって、基地所属隊員と共に、しめくくれたことにただただ感謝です。

 明日から約1週間、東京の自宅で英気を養った後、あらためて千歳基地の運営と地域との共生に力を尽くすことにしています。
 今夜もまだ航空祭の余韻と共に、1年間の数々の行事を振り返るつもりです。いつもよりアルコールがすすみ、久しぶりに熟睡できそうです。

久しぶりの長期休暇は、猛暑の東京です:8月16日(土)

 東京は何とも暑い。この1年、北海道での環境に適応した私の体は、東京の猛暑に発汗が収まらない状態です。

 それならばと、戸外に飛び出し公園の周辺をジョギングしてみました。これはこれで大量の発汗に伴う爽快感があるのですが、飲むビールの量はいつも以上。

 こんなことを3~4日続けると、どうしても体重は増えてしまいます。ただし、久しぶりに家族といっしょに生活できたおかげで、精神的なストレスは十分に解消できたように思います。

基地有志といっしょに、市民盆踊り大会に参加:8月20日(水)

 千歳市が主催する一連の夏祭りのフィナーレとして、今夜、市民納涼盆踊り大会が開催されました。
 
 今年も、基地の隊員有志約80名と共に、そろいの浴衣で参加。「北海盆歌」のリズムで約1時間、会場及びその周辺を踊り歩きました。 
 
 今回は主催者側からの表彰に至りませんでしたが、地域の伝統祭りの盛り上げに基地として少しでも貢献できたものと思います。
 
こうして、千歳の短い夏は終わりを告げ、季節は一気に秋に移っていくようです。

F-15型機エンジン音がしばらくぶりに響きわたる:8月22日(金)

 航空祭終了以降、夏期休暇を挟んで、昨日から久しぶりに当基地での飛行訓練を開始。
 航空機燃料高騰に伴い、各操縦者の飛行訓練時間に多少の影響を与えそうです。

 このことが、操縦者の練度ひいては飛行安全に悪い影響を及ぼさないように、早期に航空機燃料供給の目途が立つことを期待するばかりです。

 当然ながら、早い段階から原油価格の高騰を考慮して、現場部隊にあっても効果的に、かつ計画的に各種飛行訓練を行ってきています。

 
 しかしながら、効率性を重視する民間航空機と異なり、各操縦者に対しては高性能戦闘機を駆使できるだけの高い対処技量を要求することを優先させざるを得ません。

 こうした飛行部隊のおける苦難の状況をぜひ周辺地域の方々に理解を賜りたいと思います。

定年退官行事を家族と共に:8月28日(木)

 定年退官を迎える隊員が、基地内で執り行う「記念撮影」、「儀仗」、「他隊員による見送り」等の行事に、自らの家族をまねくことはどこの基地でも決して珍しいことではありません。

 今日、退官した幹部は、自分自身大いなる達成感を持って奥様とまだ小学生である子息といっしょに一連の行事に臨みました。

 子は、他の多くの隊員から定年を惜しまれる父の姿を見て感じることがあるでしょう。妻も、夫の自衛隊勤務をこれまで支えてきたことを思い出し感慨深いものがあるでしょう。

 こうした家族全員が仲むつまじく基地を離れていくシーンは、私自身も含め見送る側の現役隊員達を、家族・両親等のために自衛隊での仕事を悔いなくやり遂げたいという気持ちにさせる感動の一場面でした。

新隊員達はりっぱな中堅空曹に成長していました:8月30日(土)

 昨夕、千歳市内で23年ぶりに「教え子」達と懇親することができました。
 私は、昭和60年3月から約4ヶ月間、熊谷基地(埼玉県)で新隊員課程(第217期)の区隊長として臨時勤務していた経験があります。

 「教え子」はその時の区隊員です。当時、2等空士の階級にあった彼らは、ベテランの域に達する中堅空曹になっており、再会にとても感激しました。
 彼らの思い出話からは、当時の私が26歳、体力・気力共に充実していたこともあって、教育訓練や躾についてやたら厳しかったらしいです。その点は自覚しています。彼らと談笑し、杯を交わし、卒業アルバムに見てまた盛り上がる。

 なんとも指揮官(この場合は、教育者というべきでしょうか)冥利に尽きる週末の3時間半でした。
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